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  • DNAを認識する細胞内自然免疫
    阿部, 隆之

    ウイルス, 06/2014, Volume: 64, Issue: 1
    Journal Article

    STING (stimulator of interferon (IFN) genes)は,様々なRNA及びDNAウイルス感染に対する生体防御機構に重要な役割を果たす,小胞体局在膜蛋白質として同定された分子である.一方,STINGはウイルス及び細菌由来のDNA成分に対する宿主自然免疫応答の誘導に重要な役割を示すことが報告されているが,その分子機序は明らかにされていなかった.我々の近年の報告から,STINGがウイルス由来のゲノムDNAのみならず,ISD (IFN-stimulatory DNA)と呼ばれる合成二重鎖DNA,さらにアポトーシス細胞由来の自己DNA成分と複合体を形成し得る事を明らかにした.STINGによる様々なDNA成分の認識は,STINGの核膜周辺領域へのダイナミックな局在変化を誘発し,IRF3のリン酸化キナーゼであるTBK1の活性化を介してIFNを誘導する.さらに,STINGは微生物由来である非自己のDNA成分のみならず,自己のDNA成分の認識を介した慢性的な炎症性応答の制御にも関与している可能性が示唆されている.本トピックスにおいては,STINGのDNA成分に対する認識機構に加え,筆者らのグループが近年報告したSTING依存的な自然免疫シグナルの制御機構についても言及する.