The University Hospital Clinical Trial Alliance(UHCT Alliance) was established in 2006 with the goal to conduct global studies in Japan, and is presently organized by 7 national university hospitals ...in the Kanto and Shin-Etsu area. To promote more efficient and safer clinical trials, we have been considering the possibility of a centralized IRB(CIRB) system in the Alliance. The outline of our plan is as follows: One of the university hospitals selected for a clinical trial is responsible for both Cooperative Hearing and CIRB, resulting in a shift of the site in charge of member hospitals in the Alliance. The CIRB should review not only “ethical and scientific issues” but also “local issues” such as qualifications of the investigators and the institutions. The CIRB should conduct continuing review of each ongoing trial. In the case of occurrence of significant adverse events in a member hospital, the site voluntarily offers opinions to the CIRB. Low efficiency caused by a small number of member hospitals and the CIRB shifting system seems to be the most serious problem in our plan. A CIRB for three Alliance members, similar to the Alliance system, has been working in an investigator-initiated clinical trial since July 2010. This ongoing system will provide more information about the advantages and disadvantages of our CIRB plan. When the number of member hospitals increases markedly, the methods of reviewing “local issues” should be reconsidered in order to safeguard the rights, safety, and well-being of trial subjects. (Jpn J Clin Pharmacol Ther 2013; 44(3): 207-215)
【目的】近年、臨床研究のモニタリングではRisk Based ...Monitoring(以下、RBM)が推奨されており、全ての項目に対して画一的に確認するのではなく重点的なモニタリングが求められている。一般的にRBMでは各リスクに対して重要度、発生頻度、検出可能性で点数をつけるが、発生頻度については各担当者の経験的な感覚でしか論じられていないのが現状である。そこで実際にどのようなプロセスでエラーが多く発生しているかを検討した。【方法】信州大学医学部附属病院臨床研究支援センターでモニタリング実施支援を行った研究のうち、単施設で実施した参加被験者数51症例の介入研究(以下、本研究)を対象とした。本研究では全症例、全観察項目に対してモニタリングを実施し、挙げられたクエリを観察項目およびプロセスで分類して件数を集計した。さらにエラー発生頻度の高いプロセスに対してその要因を検討した。【結果・考察】モニタリングの実施により挙げられたクエリを観察項目およびプロセスで分類したところ、エラー発生数が多い順に、併用薬のEDC入力16件、画像検査の評価手順15件、血圧のカルテ記載10件、臨床検査のオーダー8件となった。これらは三種の要因に分類されると考えた。(1)併用薬はEDCの入力者が必要な薬剤を取捨選択し、薬剤名称や単位を変換して入力する必要があり、複雑な判断が必要なプロセスであることがエラー発生の要因と考えられた。(2)画像検査は研究開始時点で評価手順が定まっておらず、また臨床検査値ではオーダーテンプレートに不備があり欠測が多発していた。これらは初期のエラーがその後に大きく影響したことが要因と考えられる。(3)血圧は測定結果の記載忘れが多発していたが、これは特定の入力フォームが無く医師がカルテの経過記録に直接記載する手順だったことが要因だった。以上より次のようなプロセスでエラー発生頻度が高くなると考えた。(1)作業者による複雑な判断を必要とするもの。(2)手順やテンプレートを作成する等、1つのエラーが多数のエラーにつながるもの。(3)カルテへ自由に記載する等、特定のフォームがない観察項目の実施プロセス。【結論】RBMでは上記のようなエラー要因を持つ臨床研究実施プロセスを特定し、当該プロセスにおけるリスクを評価する必要がある。また予防措置としてこれらのプロセスをできる限り避けるように事前に計画することも重要である。
悪性腫瘍組織は正常組織に比べ熱に弱いという性質があるので,悪性腫瘍に対する温熱療法は以前から注目されてきた.しかし,いまだに外科療法,化学療法,放射線療法に代わるほどの強力な治療法になっていない.そのひとつの大きな理由として,腫瘍組織のみ選択的に加温する方法がなかったことが考えられる.つまり,腫瘍細胞は42.5℃以上に加温すると殺傷されるが,現行の温熱療法では正常組織も同様に加温されてしまうので,42.5℃付近の加温に調整しなければならない.理論的には,正常組織を加温しないで腫瘍組織のみ選択的に加温できればどのような種類の固形腫瘍も死滅させることは可能である.名古屋大学大学院工学研究科の小林 猛名誉教授(現在中部大学応用生物学部教授)らは,マグネタイト微粒子をリボソームに包んだ製剤(マグネトリポソーム)の作製に成功し,これを体内に投与した後に外部から交番磁場をかける温熱療法を開発した.この治療法はマグネトリポソームがとりこまれた腫瘍部位の温度を自由に操ることができるという画期的なものである.マウスの実験ではこの製剤をメラノーマに局注し,交番磁場をかけることにより腫瘍内の温度を選択的に43℃に保つことが可能であることが確認され,腫瘍の増大も抑制することができた.この温熱効果は免疫系も賦活させ,IL-2 1),GM-CSF 1),heat shock protein 2)などのサイトカインなどを投与したところ,腫瘍は完全に消退した.さらに,彼らは腫瘍に特異的な抗体を結合させた抗体結合マグネトリポソームの作製にも成功しており,これを血中に投与することにより,マグネトリポソームは腫瘍組織に集積し,交番磁場照射下での加温のみならず,MRIの強力な造影剤としても利用できることを明らかにした.新しい温熱免疫療法としてだけでなく,画像診断としての有用性という点においても非常に興味深い.現在,信州大学医学部皮膚科学教室では中部大学応用生物学部,名古屋大学大学院工学研究科と共同で進行期悪性黒色腫に対し,この抗体付きマグネトリポソームを使用する温熱免疫療法の臨床応用の可能性につき検討している.新しい治療法として確立できるか,今後の研究成果を大いに期待したい. 文献 1) Ito A, Tanaka K, Kondo K, Shinkai M, Honda H, Matsumoto K, Saida T, Kobayashi T:Tumor regression by combined immunotherapy and hyperthermia using magnetic nanoparticles in an experimental subcutaneous murine melanoma. Cancer Sci 94: 308-311, 2003 2) Ito A,Matsuoka F,Honda H,Kobayashi T:Antitumor effects of combined therapy of recombinant heat shock protein 70 and hyperthermia using magnetic nanoparticles in an experimental subcutaneous murine melanoma. Cancer Immunol Immunother 53:26-32, 2004