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救急集中治療を変える!! 薬学から重症患者の治療向上に寄与するエビデンスを創り,発信する
石澤, 啓介; 入江, 利行
YAKUGAKU ZASSHI,
2017, Letnik:
137, Številka:
12
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救急集中治療では重症感染症, 多発外傷, 急性中毒などの生命の危機に瀕している重症患者に対して治療が施される. また, それらの重症病態に起因する高度侵襲により播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation; DIC)を併発し多臓器不全に至る患者も多く, 早期に適切な薬物治療を開始する必要がある. さらに, ...
DICの進行に伴い循環不全や腎不全を併発し, 心肺停止状態に陥ると分秒を争う薬物投与が必要になる. しかし, 患者の状態により必要な治療が大きく異なる救急集中治療では明確なエビデンスが少なく, 多くの患者が命を落としてしまっている. 本シンポジウムでは, 薬学の英知を集結し実施した薬学研究を提示し, ともに重症患者に向き合う救急医の意見を交えながら, 救急集中治療における重症患者の治療向上に寄与するエビデンス創出について議論を交わした. まず, 救急集中治療に携わる薬剤師が実施した研究内容として, 日本大学医学部附属板橋病院薬剤部 今井徹氏からは, "救急集中治療の薬物治療を考える: 侵襲が薬物治療に及ぼす影響について", 済生会横浜市東部病院薬剤部 今浦将治氏からは"重症患者の感染症治療に対する薬剤師の介入効果", 愛知医科大学病院薬剤部 加藤隆寛氏からは"敗血症に合併した播種性血管内凝固症候群に対する薬物治療"について御講演頂いた. また救急集中治療領域に携わる大学教員が実施した研究内容として, 徳島大学大学院医歯薬学研究部の座間味義人氏から, "心肺停止患者における生存率の向上を志向したドラッグリポジショニング研究-大規模医療情報を活用した検討-"について御講演頂いた. そして, 最後に救急集中治療領域に携わる医師からの提言として川崎医科大学救急医学 椎野泰和氏から"救急集中治療における研究に対する薬剤師への期待"について御講演頂いた. われわれは本シンポジウムをきっかけに救急集中治療において研究を実施する薬剤師が増え, 薬学がさらに救急集中治療の発展に寄与していくことを切に願っている. 最後に, 今回の御講演・御執筆に多大なご協力を賜りましたシンポジストの先生方に, 心より御礼申し上げます. また, 本シンポジウムの開催並びに本誌上シンポジウムの貴重な機会を頂きました, 日本薬学会第136年会組織委員長, 組織委員会並びに日本薬学会スタッフの方々に厚く御礼申し上げます.
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大規模医療情報データベースを用いた薬剤性心毒性の予防法の開発
濱野, 裕章; 座間味, 義人; 牛尾, 聡一郎 ...
YAKUGAKU ZASSHI,
03/2024, Letnik:
144, Številka:
3
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「1. はじめに」近年, がん治療の薬物療法は著しい進歩を見せ, それに伴い患者の生命予後が改善している. しかしながら, 免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)やドキソルビシンといった抗がん剤の使用による心筋損傷や心不全などの薬剤起因の心毒性が増加し, このような副作用による死亡率が, がんによる死亡率を超えることが報告されている. ...
これらの情況を鑑みると, 薬剤性心毒性の予防及びマネジメントは, 患者の生活の質を保つとともに長期的な治療を実施するうえで, ますます重要となってきている. 現代の医学研究の主軸は, 薬剤の効果とその副作用の正確な評価であり, この目的のために, 副作用データベースなどの医療ビッグデータの活用が世界中で進められている. 筆者らの研究グループにおいても, 薬剤性心毒性への対策の確立を追求し, 大規模な医療情報を活用した研究を実施している.
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心肺停止患者における生存率の向上を志向したドラッグリポジショニング研究 —大規模医療情報を活用した検討
座間味, 義人; 新村, 貴博; 武智, 研志 ...
YAKUGAKU ZASSHI,
2017, Letnik:
137, Številka:
12
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「1. はじめに」 日本における心停止患者数は年間約10万人で, 高齢化に伴ってさらに増加していくと予想されている. 全世界では毎年約1億人の心肺停止患者が発生しており国際的な課題となっている. 心肺蘇生法の進歩により救命率が向上しているものの, 心拍再開後に高率で蘇生後脳症を合併するため社会復帰率は非常に低い. 蘇生後脳症に対する治療は長期にわたり, ...
後遺症が残ると介護が必要になるので医療費増大による経済的損失は計りしれない. 現時点で心肺停止に合併する蘇生後脳症を改善する薬剤は存在しないため新規治療薬の開発が望まれている. 近年, 臨床現場で使用されている既存薬の新しい薬効を発見し, その薬を別の疾患の治療薬として開発するドラッグリポジショニングという創薬戦略が提案されている.
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腎・心血管障害における細胞内分子機構の解明とその治療法の開発
石澤, 啓介
YAKUGAKU ZASSHI,
2011/09/01, Letnik:
131, Številka:
9
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「1. はじめに」近年, 心臓と腎臓は密接な関係にあることが明らかとなってきており, 心腎連関という概念が確立し注目されている. 慢性腎臓病(chronic kidney disease, CKD)は, タンパク尿や腎機能低下から腎不全さらには透析へ至る腎疾患であり, 2002年に米国でその概念が提唱された後, 欧州やアジアへも急速に広まっている. 1) ...
日本腎臓学会はCKDを「腎臓の障害(タンパク尿など)」, 若しくは「GFR(糸球体濾過量)が60ml/min/1.73m2未満の腎機能低下が3ヵ月以上持続するもの」, と定義している. CKDは腎障害が進行するのみならず, 心血管疾患(cardiovascular disease, CVD)の重要な危険因子であることが, 久山町研究等の疫学研究成績からも明らかとなってきている. 2, 3). 一方CKDは, 食事療法, 生活指導及び薬物療法でその進行を遅らせることが可能であるとともに, アンジオテンシン変換酵素阻害薬及びアンジオテンシンII AT1受容体遮断薬(angiotensin II receptor blocker, ARB)により血圧をコントロールすることでも進行を抑制できることが知られている. 4)
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酸化ストレス制御を基盤とする新規心腎血管障害治療薬の開発
今西, 正樹; 石澤, 啓介; 櫻田, 巧 ...
YAKUGAKU ZASSHI,
2014, Letnik:
134, Številka:
6
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「1. はじめに」 心血管疾患(cardiovascular disease; CVD)は脳梗塞・心筋梗塞などに代表される脳血管疾患及び心疾患の総称であり, 長年日本人の死亡原因の上位を占めている. CVD発症には, 生活習慣病である糖尿病, 脂質異常症, 高血圧に伴う動脈硬化の進展が関与することが知られている. 一方, 慢性腎臓病(chronic kidney disease; ...
CKD)は原疾患を問わず慢性に経過する腎臓病を総称し, 日本腎臓学会において「腎臓の障害(タンパク尿など), 若しくはGFR(糸球体濾過量)60mL/分/1.73m2未満の腎機能低下が3ヵ月以上持続するもの」と定義されている. 先に述べた糖尿病, 脂質異常症, 高血圧などの生活習慣病はCVDと同様にCKDの危険因子でもある.近年, 久山町研究等の疫学研究成績からCKDとCVDとの関連が示唆されており, 臨床研究あるいは基礎研究のいずれからも心血管機能と腎機能との間に密接な関係があることが明らかにされている.
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インスリン抵抗性による血管障害の細胞内情報伝達機構
吉栖, 正典; 石澤, 啓介; 井澤, 有紀 ...
日本薬理学雑誌,
09/2006, Letnik:
128, Številka:
3
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近年,メタボリック症候群の疾患概念が確立され,本邦でもその診断基準が発表された.メタボリック症候群の根底にはインスリン抵抗性が存在するといわれるが,高血圧,動脈硬化などの血管病にインスリン抵抗性がどのように関っているかは未だ明らかではない.我々はこの数年,血管病の発症,進展に関わるインスリン抵抗性の細胞内情報伝達機構について研究を行なってきた.糖尿病モデル動物のOLETFラットを用いた検討では,アンジオテンシンII受容体拮抗薬の投与が末梢での糖利用臓器のインスリン抵抗性を改善させ,レニン-アンジオテンシン系のメタボリック症候群への関与が示唆された.培養血管平滑筋細胞を用いた細胞内情報伝達機構の検討では,アンジオテンシンII刺激によって活性化されるMAPキナーゼの一つ,ERK1/2がインスリン抵抗性の発現に関与していることが明らかになった.また,血管リモデリング進展過程のひとつである血管平滑筋細胞の遊走において,SrcチロシンキナーゼやCasアダプタータンパクが細胞内分子として重要な役割を果たしていることを見いだした.血管病におけるインスリン抵抗性に関わる標的分子の探求は,今後も増加することが予想されるメタボリックシンドローム治療のための創薬に有用な情報をもたらすことが期待される.
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「縁」と「和」が生むvirtuous cycle
石澤啓介
日本薬理学雑誌,
03/2013, Letnik:
141, Številka:
3
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東邦大学薬学部の行方衣由紀先生からの引き継ぎで, 徳島大学の石澤啓介がリレーエッセイを担当させていただきます. 薬理学研究をスタートしてはや16年, いわゆる若手ベテランという枠組みに属する私ですが, これを機に, 研究, 教育, 臨床に携わってきた歩みについて少し振り返ってみたいと思います. 私が薬理学研究と出会ったのは, 岡山大学薬学部4年生の時でした. 当時, ...
薬物学教室を主宰されていた亀井千晃教授に, 動物個体を用いた行動薬理学を懇切丁寧にご指導して頂きました. 在籍した3年間で学んだ動物のハンドリング方法や行動変化を見抜く観察力は, 現在も私の薬理学研究の基盤となっています. また薬物学教室の在籍時には, 社会人に必須のコミュニケーション力や礼儀などを体育会系部活のように叩き込まれ, それらは社会に出てからも大いに役立っています. 岡山大学大学院薬学研究科修士課程を修了後, 徳島大学病院薬剤部に薬剤師として勤務することとなりました.
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ホスホジエステラーゼ5阻害剤に関連した致死的な血管毒性
宮田, 晃志; 石澤, 有紀; 濱野, 裕章 ...
日本臨床薬理学会学術総会抄録集,
2022
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【目的】大動脈をはじめとした各種動脈における瘤・解離疾患は、死亡率の高い血管疾患の一つである。動脈瘤・解離の危険因子として高齢者、男性、喫煙、高血圧、動脈硬化、結合組織病などが知られているが、加えて、フルオロキノロン系抗菌薬や血管新生阻害剤などを用いた薬物治療の有害事象として、動脈瘤・解離のリスクが高まる可能性が示唆されている。近年、勃起障害などに使用されるcGMP特異的ホスホジエステラーゼ ...
(PDE5) 阻害剤使用後に動脈瘤・解離を発症した患者の症例が複数報告されている。動脈瘤モデルマウスを用いた動物実験においても大動脈瘤を悪化させるという結果が得られており、PDE5阻害剤は動脈瘤・解離に関与する可能性が示唆される。本研究では、世界保健機関 (WHO) のグローバルファーマコビジランスデータベースであるVigiBaseを用いたファーマコビジランス手法により、PDE5阻害剤のヒトに対する動脈瘤・解離リスクを明らかにすることを目的として研究を行った。【方法】WHOの個別症例安全性報告データベースであるVigiBaseを使用し2021年12月までのデータを不均衡分析により解析した。PDE5阻害剤としてシルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、アバナフィルに関して解析した。副作用発現の有無や薬剤使用の有無から報告オッズ比 (ROR) を算出し、RORの95%信頼区間の下限値が1を超えるものを、副作用シグナルが検出された、とみた。【結果・考察】VigiBaseにある27,994,584件の報告のうち249件でPDE5阻害剤使用との関連が疑われる動脈瘤・解離が報告されていた。不均衡分析の結果ではPDE5阻害剤投与例において副作用シグナルが検出され、個別の薬剤としてはシルデナフィル、タダラフィルでシグナルを認めた。またPDE5阻害剤使用症例に関して、適応症ごと、または瘤・解離病変が形成された各動脈の部位ごとに実施した不均衡分析においても、それぞれシグナルが検出された。年齢・性別で層別化した解析でも同様にシグナルが検出された。これらの結果はPDE5阻害剤の使用と動脈瘤・解離の関連を示しており、PDE5阻害剤の使用が動脈瘤・解離発症のリスクを上昇させる可能性を示している。【結論】本研究によりPDE5阻害剤は動脈瘤・解離のリスクを高める可能性があり、PDE5阻害剤の使用と動脈瘤・解離発症の因果関係を証明するために、母集団解析を含むさらなる研究が必要であることが示された。
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がん薬物療法に伴う腎障害とその予防
合田, 光寛; 神田, 将哉; 吉岡, 俊彦 ...
日本臨床薬理学会学術総会抄録集,
2022
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がん薬物治療の進歩により、がん患者の予後が改善し、がん化学療法や分子標的薬治療を受ける患者数が増加している。一方で、がん化学療法施行時には、悪心・嘔吐、腎障害、心機能障害、末梢神経障害などの多岐にわたる有害事象が高頻度に起こる。中でも、抗がん剤誘発急性腎障害はがん治療の遂行を妨げ、がん患者のQOLを低下させる。近年、がんと腎臓病の連関が重要視されるようになり、腫瘍学-腎臓病学を融合した「Onco-nephrology」という新領域が注目されている。腎機能が低下した患者では、腎排泄型抗がん剤の投与制限が必要となることに加えて、腎機能低下自体が抗がん薬による急性腎障害 (acute kidney injury; AKI) 発症のリスク因子となる。さらに、AKI発症の既往は将来的な慢性腎臓病 (chronic kidney disease; CKD) 発症のリスク因子となることから、抗がん剤による薬剤性腎障害のコントロールは、患者のQOL向上、治療継続、予後改善のための重要な課題であると言える。現在、臨床では日本腎臓学会等により発表された「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2016」などのガイドラインに従って適切な治療が行われているにも関わらず、約30%の患者で腎障害が発生していると言われている。現状の予防法では、完全に抗がん剤誘発腎障害を抑えることはできないため、新たな予防法や予防薬の開発が求められている。近年、レセプトデータベースや有害事象自発報告データベースなどの医療ビッグデータを用いた研究が注目されている。臨床における多様な患者層・様々な因子を内包する医療ビッグデータを用いた網羅的な解析により、様々な薬剤性副作用に対する併用医薬品の実臨床での影響を解析することができる。しかし、医療ビッグデータ解析の結果だけでは因果関係を明確に示すことは難しい。そこで我々は基礎研究や後方視的観察研究を用いて、医療ビッグデータ解析で見出した結果を検証することによって、より確からしい結果を選別し、臨床応用可能性の高い予防法の開発に繋げることを目指した。本シンポジウムでは、がん薬物治療に伴う急性腎障害について概説するとともに、大規模医療情報データベースや遺伝子発現データベースを用いたビッグデータ解析、基礎研究、後方視的観察研究を融合した新しい研究手法を用いた抗がん剤誘発腎障害に対する新規予防法の開発研究によって得られた成果を紹介する。
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