1.
大規模医療情報データベースを用いた薬剤性心毒性の予防法の開発
濱野, 裕章; 座間味, 義人; 牛尾, 聡一郎 ...
YAKUGAKU ZASSHI,
03/2024, Letnik:
144, Številka:
3
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「1. はじめに」近年, がん治療の薬物療法は著しい進歩を見せ, それに伴い患者の生命予後が改善している. しかしながら, 免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)やドキソルビシンといった抗がん剤の使用による心筋損傷や心不全などの薬剤起因の心毒性が増加し, このような副作用による死亡率が, がんによる死亡率を超えることが報告されている. ...
これらの情況を鑑みると, 薬剤性心毒性の予防及びマネジメントは, 患者の生活の質を保つとともに長期的な治療を実施するうえで, ますます重要となってきている. 現代の医学研究の主軸は, 薬剤の効果とその副作用の正確な評価であり, この目的のために, 副作用データベースなどの医療ビッグデータの活用が世界中で進められている. 筆者らの研究グループにおいても, 薬剤性心毒性への対策の確立を追求し, 大規模な医療情報を活用した研究を実施している.
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2.
酸化ストレス制御を基盤とする新規心腎血管障害治療薬の開発
今西, 正樹; 石澤, 啓介; 櫻田, 巧 ...
YAKUGAKU ZASSHI,
2014, Letnik:
134, Številka:
6
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「1. はじめに」 心血管疾患(cardiovascular disease; CVD)は脳梗塞・心筋梗塞などに代表される脳血管疾患及び心疾患の総称であり, 長年日本人の死亡原因の上位を占めている. CVD発症には, 生活習慣病である糖尿病, 脂質異常症, 高血圧に伴う動脈硬化の進展が関与することが知られている. 一方, 慢性腎臓病(chronic kidney disease; ...
CKD)は原疾患を問わず慢性に経過する腎臓病を総称し, 日本腎臓学会において「腎臓の障害(タンパク尿など), 若しくはGFR(糸球体濾過量)60mL/分/1.73m2未満の腎機能低下が3ヵ月以上持続するもの」と定義されている. 先に述べた糖尿病, 脂質異常症, 高血圧などの生活習慣病はCVDと同様にCKDの危険因子でもある.近年, 久山町研究等の疫学研究成績からCKDとCVDとの関連が示唆されており, 臨床研究あるいは基礎研究のいずれからも心血管機能と腎機能との間に密接な関係があることが明らかにされている.
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3.
母親業完全休業にてアメリカへ
石澤, 有紀
血管,
2014, Letnik:
37, Številka:
2
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4.
ホスホジエステラーゼ5阻害剤に関連した致死的な血管毒性
宮田, 晃志; 石澤, 有紀; 濱野, 裕章 ...
日本臨床薬理学会学術総会抄録集,
2022
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【目的】大動脈をはじめとした各種動脈における瘤・解離疾患は、死亡率の高い血管疾患の一つである。動脈瘤・解離の危険因子として高齢者、男性、喫煙、高血圧、動脈硬化、結合組織病などが知られているが、加えて、フルオロキノロン系抗菌薬や血管新生阻害剤などを用いた薬物治療の有害事象として、動脈瘤・解離のリスクが高まる可能性が示唆されている。近年、勃起障害などに使用されるcGMP特異的ホスホジエステラーゼ ...
(PDE5) 阻害剤使用後に動脈瘤・解離を発症した患者の症例が複数報告されている。動脈瘤モデルマウスを用いた動物実験においても大動脈瘤を悪化させるという結果が得られており、PDE5阻害剤は動脈瘤・解離に関与する可能性が示唆される。本研究では、世界保健機関 (WHO) のグローバルファーマコビジランスデータベースであるVigiBaseを用いたファーマコビジランス手法により、PDE5阻害剤のヒトに対する動脈瘤・解離リスクを明らかにすることを目的として研究を行った。【方法】WHOの個別症例安全性報告データベースであるVigiBaseを使用し2021年12月までのデータを不均衡分析により解析した。PDE5阻害剤としてシルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、アバナフィルに関して解析した。副作用発現の有無や薬剤使用の有無から報告オッズ比 (ROR) を算出し、RORの95%信頼区間の下限値が1を超えるものを、副作用シグナルが検出された、とみた。【結果・考察】VigiBaseにある27,994,584件の報告のうち249件でPDE5阻害剤使用との関連が疑われる動脈瘤・解離が報告されていた。不均衡分析の結果ではPDE5阻害剤投与例において副作用シグナルが検出され、個別の薬剤としてはシルデナフィル、タダラフィルでシグナルを認めた。またPDE5阻害剤使用症例に関して、適応症ごと、または瘤・解離病変が形成された各動脈の部位ごとに実施した不均衡分析においても、それぞれシグナルが検出された。年齢・性別で層別化した解析でも同様にシグナルが検出された。これらの結果はPDE5阻害剤の使用と動脈瘤・解離の関連を示しており、PDE5阻害剤の使用が動脈瘤・解離発症のリスクを上昇させる可能性を示している。【結論】本研究によりPDE5阻害剤は動脈瘤・解離のリスクを高める可能性があり、PDE5阻害剤の使用と動脈瘤・解離発症の因果関係を証明するために、母集団解析を含むさらなる研究が必要であることが示された。
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5.
がん薬物療法に伴う腎障害とその予防
合田, 光寛; 神田, 将哉; 吉岡, 俊彦 ...
日本臨床薬理学会学術総会抄録集,
2022
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がん薬物治療の進歩により、がん患者の予後が改善し、がん化学療法や分子標的薬治療を受ける患者数が増加している。一方で、がん化学療法施行時には、悪心・嘔吐、腎障害、心機能障害、末梢神経障害などの多岐にわたる有害事象が高頻度に起こる。中でも、抗がん剤誘発急性腎障害はがん治療の遂行を妨げ、がん患者のQOLを低下させる。近年、がんと腎臓病の連関が重要視されるようになり、腫瘍学-腎臓病学を融合した「Onco-nephrology」という新領域が注目されている。腎機能が低下した患者では、腎排泄型抗がん剤の投与制限が必要となることに加えて、腎機能低下自体が抗がん薬による急性腎障害 (acute kidney injury; AKI) 発症のリスク因子となる。さらに、AKI発症の既往は将来的な慢性腎臓病 (chronic kidney disease; CKD) 発症のリスク因子となることから、抗がん剤による薬剤性腎障害のコントロールは、患者のQOL向上、治療継続、予後改善のための重要な課題であると言える。現在、臨床では日本腎臓学会等により発表された「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2016」などのガイドラインに従って適切な治療が行われているにも関わらず、約30%の患者で腎障害が発生していると言われている。現状の予防法では、完全に抗がん剤誘発腎障害を抑えることはできないため、新たな予防法や予防薬の開発が求められている。近年、レセプトデータベースや有害事象自発報告データベースなどの医療ビッグデータを用いた研究が注目されている。臨床における多様な患者層・様々な因子を内包する医療ビッグデータを用いた網羅的な解析により、様々な薬剤性副作用に対する併用医薬品の実臨床での影響を解析することができる。しかし、医療ビッグデータ解析の結果だけでは因果関係を明確に示すことは難しい。そこで我々は基礎研究や後方視的観察研究を用いて、医療ビッグデータ解析で見出した結果を検証することによって、より確からしい結果を選別し、臨床応用可能性の高い予防法の開発に繋げることを目指した。本シンポジウムでは、がん薬物治療に伴う急性腎障害について概説するとともに、大規模医療情報データベースや遺伝子発現データベースを用いたビッグデータ解析、基礎研究、後方視的観察研究を融合した新しい研究手法を用いた抗がん剤誘発腎障害に対する新規予防法の開発研究によって得られた成果を紹介する。
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6.
医療ビッグデータ解析と基礎研究を融合した研究手法によるハイブリッド創薬
合田, 光寛; 相澤, 風花; 八木, 健太 ...
日本臨床薬理学会学術総会抄録集,
2022
Journal Article
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がんの罹患数は世界的に増加しているが、がん治療の進歩はめざましく、化学療法と免疫療法の併用療法などの複合的な治療法が次々に開発され、がん患者の予後は著明に改善しており、全がんの年齢調整死亡率は減少している。その結果、がんサバイバーの増加が報告されており、今後もがん化学療法を受ける患者数が増加し続けることが予想される。一方で、がん化学療法施行時には、悪心・嘔吐、腎障害、心機能障害、末梢神経障害などの多岐にわたる有害事象が高頻度に起こるが、臨床で行われている副作用対策では防ぎきれていないのが現状である。抗がん剤誘発有害事象は患者のQOL低下、さらには治療継続困難や予後不良につながる重大な影響を与えるため、抗がん剤誘発有害事象の予防法の開発は臨床上解決すべき重要な課題となっている。近年、我が国においても、有害事象自発報告データベースやレセプトデータベースなどの医療ビッグデータを用いた研究が展開されている。臨床における多様な患者層・様々な因子を内包する医療ビッグデータを用いた解析により、様々な副作用に対して実臨床で効果があると推測される予防薬候補を見出すことが可能になる。しかし、実臨床で収集された医療ビッグデータには欠損値や報告バイアスなどがある点や、医療ビッグデータ解析の結果だけでは因果関係や作用機序を明確に示すことは難しい点に注意が必要である。そこで、我々は医療ビッグデータ解析と遺伝子発現データベース解析を組み合わせて、より確からしい結果を選別し、ビッグデータ解析で抽出された予防薬候補の有効性を基礎薬理学的手法によって検証することにより、臨床応用可能性の高い予防薬の開発に繋げることを目指した。本シンポジウムでは、医療ビッグデータ解析と基礎研究を融合した新しい研究手法を用いた抗がん剤誘発副作用に対する新規予防薬の開発研究によって得られた成果を紹介する。
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7.
ラモトリギンの皮膚障害リスクに影響する因子の探索
宮田, 晃志; 坂東, 寛; 合田, 光寛 ...
日本臨床薬理学会学術総会抄録集,
2021
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【目的】てんかんおよび双極性障害の維持療法に適応を有するラモトリギンは、副作用として重篤な皮膚障害が現れることがあり、死亡に至った例も報告されたことから2015年に安全性速報で注意喚起がなされた。ラモトリギン誘発皮膚障害は、血中濃度の急激な上昇が関与しており、代謝経路に関与するUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)阻害作用を示すバルプロ酸との併用でリスクが高いことが知られている。しかし、UGT阻害作用を示す薬剤はバルプロ酸の他にも睡眠薬、鎮痛薬、免疫抑制薬など多数存在するにも関わらず、それらの薬剤併用によるラモトリギン誘発皮膚障害への影響は不明である。本研究では、医療ビッグデータ解析を用いてUGT阻害作用を示す薬剤がラモトリギン誘発皮膚障害の報告オッズ比に与える影響を検討した。さらに、徳島大学病院の病院診療情報を用いて、併用薬によるラモトリギンの皮膚障害リスクの変化を検討した。【方法】大規模副作用症例報告データベース(FAERS:FDA Adverse Event Reporting System)を用いて、ラモトリギンとの併用により皮膚障害報告数を上昇させる薬剤を探索した。さらに徳島大学病院診療録より、ラモトリギン服用を開始した患者を対象とし、ラモトリギンの投与量、併用薬、皮膚障害の有無などを調査した。【結果】FAERS解析から、UGT阻害作用を示す医薬品のうち、ラモトリギンとの併用により皮膚障害リスクの上昇が示唆される薬剤として、バルプロ酸(ROR: 2.98, 95%CI: 2.63-3.37)、フルニトラゼパム(ROR: 5.93, 95%CI: 4.33-8.14)およびニトラゼパム(ROR: 2.09, 95%CI: 1.24-3.51)が抽出された。徳島大学病院診療情報を用いた後方視的観察研究の結果、ラモトリギン服用が開始された患者の内、20%程度で皮膚障害が認められ、フルニトラゼパム併用患者では皮膚障害発生頻度が上昇する傾向が認められた。【考察】フルニトラゼパムおよびニトラゼパムは、UGT阻害作用を示す薬剤であることから、ラモトリギンの血中濃度に影響し、ラモトリギンの皮膚障害リスクを上昇させている可能性がある。また、睡眠薬であることから精神科領域で併用する可能性があり、睡眠薬の選択や併用時の副作用モニタリングに注意を要すると考えられる。
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8.
ドキソルビシン誘発心筋症に対する予防薬探索を目的としたドラッグリポジショニング研究
西内, 栞; 斎藤, 広海; 新村, 貴博 ...
日本臨床薬理学会学術総会抄録集,
2021
Journal Article
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【目的】Doxorubicin ...
(Dox)は累積投与量に依存して重篤な心筋症を発現することが知られている。Doxに関連した心筋症は、生命予後を著しく悪化させることが報告されているが、現在までに有効な対策は確立されておらず、予防薬の開発が喫緊の課題である。そこで、本研究では、大規模医療情報データベースを用いたドラッグリポジショニング研究によってDox誘発心筋症に対する予防薬を探索した。【方法】はじめに、遺伝子発現データベース(GEO) より得られたマイクロアレイデータの解析を行い、Dox投与後の心筋組織における発現変動遺伝子を抽出した。次に、創薬ツール(LINCS)を用いて、Doxによる遺伝子発現変動を打ち消す既存承認薬を探索した。さらに、有害事象自発報告データベース(FAERS)を解析し、LINCS解析によって抽出した薬剤がDox誘発心筋症の報告数に及ぼす影響を検討した。FAERS解析においても有効性が示唆された薬剤に関して、C57BL6マウスを用いてDox誘発心筋症モデルを作製し、心筋組織の炎症およびアポトーシス関連タンパク質のmRNA発現変化を評価した。【結果】マイクロアレイデータ解析より見出された発現変動遺伝子を用いて、LINCS解析を行った結果、既存承認薬6剤が候補薬として抽出された。FAERS解析によりこれらのうち3剤でDox誘発心筋症の報告オッズ比が減少する傾向が認められた。in vivoの検討において、Doxの投与によって上昇した心筋組織のIL-1b, IL-6およびBax/Bcl-2 mRNA発現比が予防薬候補の併用によって減少する傾向が認められた。【考察】異なる2種類のビッグデータ解析により抽出された3種類の既存承認薬は、臨床においてもDox誘発心筋症のリスクを軽減する薬剤となることが示唆される。Dox誘発心筋症モデルマウスを用いた検討結果から、抽出された予防薬候補は、Doxによる心筋組織の炎症反応を抑制することでアポトーシスを抑制する可能性が考えられる。【結論】本研究の結果から、創薬ツールおよび大規模医療情報データベース解析により見出された既存承認薬がDox誘発心筋症に対する新規予防薬となる可能性が示唆された。
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9.
Topical application of nitrosonifedipine, a novel radical scavenger, ameliorates ischemic skin flap necrosis in a mouse model
Fukunaga, Yutaka; Izawa‐Ishizawa, Yuki; Horinouchi, Yuya ...
Wound repair and regeneration,
04/2017, Letnik:
25, Številka:
2
Journal Article
Recenzirano
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Ischemic skin flap necrosis can occur in random pattern flaps. An excess amount of reactive oxygen species is generated and causes necrosis in the ischemic tissue. Nitrosonifedipine (NO‐NIF) has been ...
demonstrated to possess potent radical scavenging ability. However, there has been no study on the effects of NO‐NIF on ischemic skin flap necrosis. Therefore, they evaluated the potential of NO‐NIF in ameliorating ischemic skin flap necrosis in a mouse model. A random pattern skin flap (1.0 × 3.0 cm) was elevated on the dorsum of C57BL/6 mice. NO‐NIF was administered by topical injection immediately after surgery and every 24 hours thereafter. Flap survival was evaluated on postoperative day 7. Tissue samples from the skin flaps were harvested on postoperative days 1 and 3 to analyze oxidative stress, apoptosis and endothelial dysfunction. The viable area of the flap in the NO‐NIF group was significantly increased (78.30 ± 7.041%) compared with that of the control group (47.77 ± 6.549%, p < 0.01). NO‐NIF reduced oxidative stress, apoptosis and endothelial dysfunction, which were evidenced by the decrease of malondialdehyde, p22phox protein expression, number of apoptotic cells, phosphorylated p38 MAPK protein expression, and vascular cell adhesion molecule‐1 protein expression while endothelial nitric oxide synthase protein expression was increased. In conclusion, they demonstrated that NO‐NIF ameliorated ischemic skin flap necrosis by reducing oxidative stress, apoptosis, and endothelial dysfunction. NO‐NIF is considered to be a candidate for the treatment of ischemic flap necrosis.
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BFBNIB, DOBA, FZAB, GIS, IJS, IZUM, KILJ, NLZOH, NUK, OILJ, PILJ, PNG, SAZU, SBCE, SBMB, SIK, UILJ, UKNU, UL, UM, UPUK, VSZLJ
10.
医療データベースを活用したサルコペニア治療薬の探索
植田, 詩穂; 新村, 貴博; 阿部, 菜摘 ...
日本臨床薬理学会学術総会抄録集,
2023
Journal Article
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【目的】サルコペニアは、加齢により筋肉量の減少および筋力の低下が生じた病態であり、日常生活の基本的な動作への影響のみならず、転倒・骨折などリスク増加や介護の必要度上昇につながることが知られている。治療法として運動療法や食事療法が主に提唱されているが、関節機能障害、消化器官の機能不全など身体機能の低下などが原因となり、それらの治療法を用いることができる患者は限局される。そのため、新たな治療選択肢として薬物治療が期待されている。しかし、現在までにサルコペニアに対する有効性が確立している薬剤は存在しておらず、治療薬開発が喫緊の課題となっている。 そこで、本研究では、大規模有害事象データベース活用したドラッグリポジショニング手法により新規サルコペニア治療薬を探索した。【方法】WHOの有害事象報告データベースであるVigiBaseの1968年から2021年12月公開時点までのデータを解析した。はじめにこのデータベースに含まれるデキサメタゾン使用症例を抽出した。次に、デキサメタゾン使用症例における併用薬ごとに筋萎縮の報告頻度を比較した。筋萎縮は、MedDRAに準拠した分類である"HLT 10062913/筋力低下状態/Muscle weakness conditions"に含まれる14語を用いて定義した。報告頻度のオッズ比の95%信頼区間の上限が1未満の薬剤を、サルコペニアの治療薬候補として抽出した。次に、パスウェイ解析ソフトウェアであるIngenuity Pathway Analysis (IPA) を用いて、骨格筋のタンパク質代謝に影響をする薬剤を選別した。【結果・考察】解析した期間中にデキサメタゾンの使用症例は308427件あった。デキサメタゾンと併用した際に、筋萎縮の報告頻度を有意に減少させる薬剤として、選択的NK1受容体拮抗剤であるアプレピタントやH2受容体拮抗薬のラニチジンなどが含まれていた。これらの薬剤に関して、IPA解析をおこなった結果、抗ヒスタミン薬の一種がmTORシグナル経路を介して筋タンパク質分解を抑制する可能性が示唆された。【結論】大規模有害事象データベースを用いた解析により、既存承認薬の1つがサルコペニアの治療薬候補として見出された。
Celotno besedilo
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NUK, UL, UM