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  • 合田, 光寛

    看護薬理学カンファレンス, 2023
    Journal Article

    我が国では、少子化が大きな問題となっており、出生数も年々低下している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行の影響もあり、2022 年の出生 率は 77 万 747人となり、統計を開始した1899 年以降、初めて 80 万人以下となった。 一方、このような中で、慢性疾患を抱えながら妊娠・出産を希望する女性は多く、 母体の健康管理のために妊娠中や授乳期に薬剤を使用する機会も多くなる。ま た、計画的ではない妊娠の場合には、妊娠に気付くのが遅れるため、妊娠中に偶 発的に薬剤を使用する例もある。こうしたことから、実際には、妊娠中に何らか の薬剤が使用される例はかなり多い。妊娠中、授乳中の女性の薬物治療で重要な点は、「妊娠・授乳中の女性の健 康」と「胎児・乳児の健康」の双方を確保することである。催奇形性や胎児毒性 といった胎児への影響や乳児へのリスクのみを重視し、妊娠・授乳中の女性の 健康を犠牲にすることは、結果として、胎児・乳児の健康を害するリスクがある。 妊娠前から使用している薬剤のリスク・ベネフィットについて主治医と話し合い、 女性自身が使用薬について知ることが大切である。そして、看護師、助産師をは じめ女性を支える医療者が、正しい知識を持って妊婦・授乳婦に対応する必要 がある。本講演では、妊婦や授乳婦における医薬品のリスクマネジメントについて、以 下の内容に焦点を当てて情報提供する予定である。まず、妊娠・授乳と薬の基礎 知識として、薬物の胎盤通過性、乳汁移行性や催奇形性、胎児毒性のある薬物、 また妊娠中、授乳中の薬剤使用のリスクの考え方について解説する。次に、妊婦 や授乳婦への医薬品の適切な情報提供についても取り上げる。医薬品のリスク と利益のバランスを正確に伝えることは、患者の適切な意思決定を支援する上 で重要である。そのためには、医薬品のリスク情報を的確に収集する必要がある。 最後に、妊娠中、授乳中の女性への基本的な対応方法にも触れたいと考えている。妊婦や授乳婦における医薬品のリスクマネジメントは、妊娠・授乳中の女性と 胎児・乳児の安全と健康を守るために欠かせない課題である。本講演では、妊娠・ 授乳と薬の基礎知識、リスク情報の収集と活用方法、妊娠中、授乳中の女性へ の基本的な対応方法などについて、妊婦や授乳婦の安全な薬物治療をサポート するために、皆さんと情報共有したいと考えている。