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  • Gītagovinda 1.32の細密画における滑稽の...
    三澤, 博枝

    印度學佛教學研究, 2018/03/25, Letnik: 66, Številka: 3
    Journal Article

    ヒンドゥー教の造形美術の背景には,演劇や文芸の理論書に説かれる美的概念「ラサ(情趣)理論」があったとされる.造形美術は,彫刻,絵画,浮彫の3種類とされるが,特にラサの概念を重要視していたのは絵画であった.そのため中世以降に盛んに制作されるようになった細密画では,宗教的叙情表現が色彩豊かに描かれ,鑑賞者は画家の意匠によってラサを追体験することができると想像される.しかしながら,このようにラサ理論が重要であると認められながらも,実際には絵画の中でラサがどの様に表現されているのかという問題を扱った研究はほとんどない.ウダイプル博物館所蔵のGītagovindaの細密画は,絵画化されたラサ理論を研究する上での重要な資料になり得ると考えられる.この作品は,一偈につき一枚の絵が描かれ,詩の内容を精緻かつ忠実に表現した作品である.K. Vatsyayan氏は,この作品を一枚一枚取り上げ,B. S. Miller氏によるGītagovindaの偈の英訳とそれらを対比させているが,その研究は概説に留まっている.しかし,絵画化されたラサを知るためには,絵画のみを分析するのではなく,その基となる文学で表現されるラサも分析する必要がある.本稿ではフォリオNo. 32を取り上げ,Gītagovinda 1.32の本文とそれに対する二つの註釈を基に実際の作例と比較して,細密画にラサがどのように表現されているのか解明を試みている.