1.
清拭に用いるタオルの管理方法が動物病院における診察台の清拭効果に及ぼす影響についての予備的検討
古本, 佳代; 長川(井口), 亜弥乃; 神田, 鉄平
Veterinary Nursing,
2022, Volume:
27, Issue:
2
Journal Article
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動物病院では診察台を衛生的に管理するため、定期的に清拭を行う。診察台表面の一般生菌数を指標とし、清拭に用いるタオルの管理方法が診察台の清拭効果に及ぼす影響を検討した。民間の動物病院に協力を依頼し、その動物病院が定法としていたタオルと中性電解水を用いた方法で診察台の清拭を行った。清拭に用いるタオルを(1)診察台の清拭後、流水洗浄と手絞りを実施し、繰返し使用しているタオル(複数回使用タオル)、(2)洗濯済みで未使用のタオル(単回使用タオル)の2条件とした。単回使用タオルによる清拭では、診察台の汚染度の悪化は見られなかったが、有意な清拭効果を示すには、今後試行数を増やし、検討する必要がある。複数回使用タオル群では半数以上に診察台の汚染度の悪化が見られ、汚染度の著しい悪化もあった。診察台の清拭において、水洗いタオルの繰り返し使用は微生物学的な観点から適切ではない可能性が示唆された。
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2.
倉敷市の屋外空間におけるイヌの散歩環境の温熱ストレスの調査
古本, 佳代; 尾崎, 佐登子; 富田, 早貴 ...
Veterinary Nursing,
2022, Volume:
27, Issue:
2
Journal Article
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夏季のイヌの散歩では飼養者、イヌの双方において熱中症発生に注意が必要となる。双方が受ける温熱ストレスを調査し、安全管理に資することを目的とした。2015年8〜10月に岡山県倉敷市の水島中央公園において5〜8時(以下、朝時間)、16〜20時(以下、夕時間)のアスファルト面、土面で飼養者とイヌの高さで気温とWBGT (Wet Bulb Globe Temperature) ...
指数、路面温度の測定を行った。8、9月は同時刻でも土面よりアスファルト面の気温やWBGTが高い時間があり、アスファルト面では飼養者よりイヌの高さの気温やWBGTが高かった。8月は夕時間にイヌの肢裏が熱傷を起こす危険性がある時間があった。8月は朝時間に安全なイヌの散歩が実施できるが、朝時間に実施できない場合、上旬は19時以降、中旬〜下旬は17時以降に土面での実施が推奨される。9月は残暑の影響が残っている日があり、上旬や夕時間での実施には注意が必要で、土面での実施が推奨される。10月は安全なイヌの散歩が実施できる。
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3.
動物用金属製ケージにおけるポリエチレン製マットの保温効果
清水, 夕貴; 佐伯, 香織; 川田, 修司 ...
Veterinary Nursing,
2024, Volume:
29, Issue:
1
Journal Article
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動物病院で用いられる金属製ケージは動物に対して熱伝導による熱損失の助長や床表面の冷感による不快感を生じさせるおそれがある。本研究では、金属製ケージ内にポリエチレン製マットの設置により保温効果が得られるのか調査した。ケージ内にペットシーツのみ、タオルとペットシーツ、ポリエチレン製マットとペットシーツを敷き、その上にホットパックを設置し、赤外線サーモグラフィでペットシーツおよびホットパックの表面温度を測定した。ポリエチレン製マットを用いた群のホットパックの表面温度は、ホットパック設置後の5-120分まで、ペットシーツのみを用いた群と比較し有意に高い値を示した。同様にタオルを用いた群およびポリエチレン製マットを用いた群の比較では、有意な差は認められなかった。本実験条件下において、ポリエチレン製マットおよびタオルは患者動物に見立てた熱源であるホットパックからの熱喪失を軽減することが明らかとなった。
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4.
小動物専用輸液加温器を用いた加温輸液がイソフルラン麻酔下のイヌの直腸温に及ぼす影響
清水, 夕貴; 岡田, 侑利香; 待鳥, 明日香 ...
Veterinary Nursing,
2021, Volume:
26, Issue:
2
Journal Article
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全身麻酔による周麻酔期合併症の一つに低体温がある。その予防策の一つとして加温輸液の投与が知られているが、全身麻酔下にある動物の体温に対する加温輸液の効果を検討した報告が実際にはほとんどない。本研究では、全身麻酔下のイヌに小動物専用輸液加温器 (F-CARE) あるいは、従来型の乾式電気輸液加温器 (ANIMEC) を用いた静脈内加温輸液 (10 ml/kg/h) ...
が直腸温へ及ぼす影響を検討することを目的とした。プロポフォールによる麻酔導入後、イソフルランによる吸入麻酔を維持し、直腸温を麻酔維持開始直後から吸入麻酔薬の投与終了1時間後まで5分ごとに記録した。いずれの輸液加温器を使用した加温輸液投与も直腸温の低下を有意には抑制しなかった。しかしながら、F-CAREを用いた加温輸液はANIMECの場合と比較して、直腸温の低下を小さくする傾向が認められた。さらに、直腸温が37°Cまで回復するまでに要した時間およびシバリングの持続時間も短縮される傾向が認められた。
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5.
TVOC 濃度を指標とした獣医療従事者に対する汚染度の調査
佐伯, 香織; 宮部, 真裕; 清水, 夕貴 ...
Veterinary Nursing,
2021, Volume:
26, Issue:
2
Journal Article
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様々な動物と接する機会の多い獣医療従事者にとって、業務を行ううえで衣服や体に付着する動物由来の臭気成分の吸引は健康に影響を与える要因の一つとなり得るかもしれない。しかし、臭気やその客観的指標であるTVOC濃度を用いて個々の汚染度を評価した試みはこれまでに報告がない。そこで本研究では、動物病院に勤務する動物看護師を対象に、動物に接する前後の室内TVOC濃度を測定し、汚染度を示す指標となり得るかを検討した。結果より、個人が動物に接した後には、室内TVOC濃度が有意に高値を示すことが示された。さらに、これらの変動は対象者自身がにおいをどのように感じるかという感覚と一致しており、室内TVOC濃度を指標としてその変動を観察することは、対象者自身の汚染度を評価することに繋がると考えられた。
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6.
地域猫活動を参考にした大学キャンパス内に住み着いたノラネコの管理
古本, 佳代; 近藤, 千晶; 村尾, 信義 ...
Veterinary Nursing,
2020, Volume:
25, Issue:
2
Journal Article
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地域猫活動を参考に大学キャンパス内のノラネコの管理に取り組んだ。ノラネコ数の縮減と長期的な活動継続の要素について考察するため、個体数、不妊去勢手術済み数、遺棄個体数、新規個体数、譲渡個体数、失踪個体数、死亡個体数、学内教育動物病院への治療依頼数、活動メンバー数、活動経費を算出し分析した。譲渡、失踪、死亡による数の減少が繁殖、新規参入、遺棄による数の増加より上回り、大学キャンパス内のノラネコ数は縮減し、ゼロとなった。管理したノラネコの約半数は失踪あるいは死亡したが、約半数は新しい飼い主に譲渡され、キャンパス内のノラネコ数の縮減に一定の成果を上げることができた。6年間の活動期間中の活動メンバーおよび活動資金は安定的に確保できた。TNR(trap-neuter-return)活動と新しい飼い主への譲渡を組み合わせた取り組みと、活動の効果発揮のための組織作りがノラネコ数の縮減と長期的な活動継続の要素となったことが示唆された。
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7.
小動物臨床における3Dプリンターの応用
神田, 鉄平; 佐々木, 崇了; 前田, 憲孝 ...
日本獣医師会雑誌,
2011/08/20, Volume:
64, Issue:
8
Journal Article
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8.
飼育動物診療施設における衛生的手洗い後の手指乾 燥法についての検討
貞金, 望; 稲垣, 早穂; 古川, ななみ ...
Veterinary Nursing,
2017, Volume:
22, Issue:
2
Journal Article
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衛生的手洗い後の手指乾燥における布タオルの繰り返し使用とペーパータオルの使用について比較検討した。実験1では、ペーパータオル1、2あるいは3枚を用いて手指乾燥を行なった後の手指表面生菌数を手洗い前と比較した。実験2では、布タオルを繰り返し使用して手指乾燥を行なった1〜5人目の手指表面生菌数をそれぞれ手洗い前と比較した。ペーパータオル3枚を用いて手指乾燥を行なった場合のみ、手洗い前と比較して手指表面生菌数が有意に減少した。布タオルを用いて手指乾燥を行なった1人目の手指表面生菌数は、手洗い前と比較して有意に減少していたが、2、3および5人目では統計学的に有意な減少を認められなかった。結果より、飼育動物診療施設における衛生的手洗い後の手指乾燥では、ペーパータオルであれば3枚以上を、布タオルであれば1人目としてのみ使用することによって、手指表面の生菌数を有意に減少させられることが明らかとなった。
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9.
Effect of the management method of towels used for wiping on the cleaning effect of the examination table in a veterinary hospital: A pilot study
Furumoto, Kayo; Iguchi-Nagakawa, Ayano; Kanda, Teppei
Veterinary Nursing,
2022, Volume:
27, Issue:
2
Journal Article
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At a veterinary hospital, the examination table is periodically wiped to maintain hygiene. In this study, we investigated the effect of the management method of towels used for wiping on the ...
wipe-cleaning effect on the examination table, using the number of general viable bacteria on the examination table as an indicator. We asked a private veterinary hospital to participate in our research, and the examination table was wiped using the towel and neutral electrolyzed water, which was a standard method used in that hospital. The towels used for wiping were as follows: (1) towels that have been washed with running water and hand-squeezed and, were repeatedly used to clean the examination table (multiple-use towel) and (2) unused towels that had been laundered (single-use towel). No worsening of the contamination level of the examination table was observed with wiping using single-use towels. However, more trials are required to suggest a significant effect of wiping with single-use towels. In the multiple-use towel group, more than half of the cases showed a worsening of the contamination level of the examination table, and some cases showed a significant worsening of the contamination level. These results suggest that repeated use of towels after washing with water may not be appropriate from a microbiological point of view when wiping the examination table.
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10.
部分的に人の管理下にあるネコに対する栄養・食餌管理についての調査
藤井, さくら; 糸井, 崇将; 古本, 佳代 ...
ペット栄養学会誌,
2017, Volume:
20, Issue:
Suppl
Journal Article
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国内の各地域では、所謂「地域猫」活動の一環として、部分的に人の管理下に置か ...
れているネコが複数存在している。これら地域猫に対しては、一定の給餌が定期的に行われているが、このような栄養・食餌管理が適切であるかといった検討はなされていない。そこで、調査可能であった地域猫3頭にGPSロガーと自動撮影カメラを装着し、栄養状態、運動量としての移動距離、食餌内容について調査を行なった。運動量(総移動距離)と栄養状態の比較から、3頭のうち2頭のネコについて肥満傾向、すなわちエネルギー摂取の過多が示唆された。自動撮影カメラの画像から、その一因として地域猫活動による給餌以外の摂食が考えられた。地域猫活動等の部分的な管理下であったとしても、より適切な栄養・食餌管理を目指すのであれば、それぞれのネコの運動量や摂食行動に注目する必要があると考えられた。
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