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耳鼻咽喉科領域における感染症治療の現状と展望
鈴木, 賢二
Nippon Jibi Inkoka Gakkai Kaiho,
05/2020, Volume:
123, Issue:
5
Journal Article
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耳鼻咽喉科領域は耳, 鼻, 口腔, 咽頭, 喉頭より成り, 呼吸器の最前線に位置しており, 感染症の好発部位となっている. 耳鼻咽喉科領域では, 感染症の80~90%はいわゆるかぜ症候群と呼ばれるウイルス感染から始まり, 症例により2次的に細菌感染症が惹起されるのが通例である. よって早期のウイルス性上気道炎には抗菌薬は無効であるので使用せず, 対照的に解熱消炎鎮痛薬等で対処する. ...
インフルエンザは, ウイルス感染症の内で最も重要であり, 重篤になりやすいが治療可能な疾患である. 迅速検査で確定したら早期から抗インフルエンザ薬を使用することで安全な治療を行うことができる. 薬剤耐性菌に関しては, 1928年にフレミングがペニシリンを発見したが, その翌年にはフレミングは将来ペニシリン耐性菌が出現することを予言しており, 事実1940年にはペニシリン耐性菌が出現している. その後も1970年代以降新規抗菌薬が開発されるたびに次々とそれらに対する耐性菌が出現し, 近年ますます菌の耐性化は進み, 抗菌薬の全く効かない菌も出現し始めている. 世界保健機関 (WHO) は, この地球上での薬剤耐性菌の蔓延を極めて危惧し, 2014年4月に加盟各国に2年以内に薬剤耐性に関する行動計画策定を要請した. わが国はこれを受けて直ちに AMR 対策アクションプランを示し, AMR 対策普及・啓発・教育を進め, 薬剤耐性菌のサーベイランスを行い, 標準予防策の徹底をうたい, 医療・畜水産分野の抗微生物薬の適正使用の実施等を求めている. われわれも AMR 対策アクションプランに準じた抗菌薬使用を進めるべきと考えており, これらを遂行するために, 耳鼻咽喉科領域の全国サーベイランスにおける検出菌の年次推移と薬剤感受性動向を熟知し, 治療にあたり, 抗菌薬の適正使用を推進していくべきである.
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耳鼻咽喉科診療機器の感染対策
鈴木, 賢二
日本耳鼻咽喉科学会会報,
2019/06/20, 20190620, Volume:
122, Issue:
6
Journal Article
Peer reviewed
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「はじめに」平成18年6月に公布された改正医療法において, 各医療機関は医療安全確保を義務付けられ, その一環として院内感染制御体制と医療機器の安全管理体制の充実を進めていくべきであることが示された. これに伴い, 各医療機関の管理者の責任において院内感染対策のための指針の策定, 院内感染対策委員会などの体制整備, 従事者に対する教育・研修の実施が義務化された. ...
感染予防対策として標準予防策(Standard Precautions)の原則に従いスポルディングの分類(Spaulding's Classification)に基づいた適切な対応を行うことが求められている. ちなみに標準予防策とは, 「すべての人の血液, 体液(唾液, 胸水, 腹水, 心嚢液, 脳脊髄液等すべての体液), 分泌物(汗は除く), 排泄物, あるいは傷のある皮膚や粘膜を, 感染の可能性のあるものとみなし対応することで, 患者と医療従事者の院内感染の危険性を減少させる予防策であり, 感染症の有無にかかわらずすべての患者のケアに際して普遍的に適用する予防策である.
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耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御と安全管理
鈴木, 賢二
日本耳鼻咽喉科学会会報,
2019/02/20, 20190220, Volume:
122, Issue:
2
Journal Article
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1976年に米国における消化器内視鏡を介した感染事故が Silvis らにより初めて報告され, 1985年にわが国で, 日本消化器内視鏡学会消毒委員会より内視鏡を介した B 型肝炎ウイルスの感染の実態や内視鏡検査被検者の8.5%に B 型肝炎ウイルス感染が確認されグルタラールによる検査毎の消毒が感染防止に有用であることが報告された. 厚労省は2007年3月の通知で,「医療機器の使用に当たっては, ...
当該医療機器の製造販売業者が指定する使用方法を遵守するべきであり, 十二指腸内視鏡の洗浄及び消毒又は滅菌に関しては, 関連学会等の策定するガイドライン及び添付文書・取扱説明書等に記載される製造販売業者が定める方法を遵守する.」としている. これまでに開発・臨床導入された消化器科, 泌尿器科, 呼吸器科においては既に内視鏡感染制御のガイドラインあるいは手引き書が示され活用されている. しかしながら, これまで耳鼻咽喉科領域では内視鏡を介した感染事故は学会等での報告もなく, 社会問題にもなっていなかったこともあり, ガイドラインあるいは手引き書は示されていなかった. 日本耳鼻咽喉科学会は2016年4月18日付けで会報に “耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引き” を公表した. 内視鏡は優れた臨床的診断能力と, 簡便に行われる検査であることより, 特に耳鼻咽喉科においては使用頻度が極めて高くなっている. しかし高価なこともあり施設毎に保有される内視鏡の数は限られているため, 他科のガイドラインをそのまま踏襲することには限界があり, 耳鼻咽喉科領域での実状に合った内視鏡感染制御の手引き書が作成された. 本稿ではわが国における各科内視鏡の感染制御に関する行政を含めた各科の対応につき述べ, 安全管理に則った「耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引き」の概要と実際の手順の解説を行った.
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ガイドライン, 指針, 手引き―日常診療への応用
鈴木, 賢二
日本耳鼻咽喉科学会会報,
05/2018, Volume:
121, Issue:
5
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近年わが国でも内視鏡による感染が問題となり, 消化器科, 呼吸器科, 泌尿器科など複数の科でその洗浄・消毒ガイドライン等が示されている. 内視鏡はセミクリティカル機器に分類されるが, 生検時はクリティカル機器と考えるべきである. われわれ耳鼻咽喉科の観察用内視鏡およびチャンネル付内視鏡も同様であるが, これまで感染対策の手引き書は示されていなかった. ...
内視鏡はその優れた診断能力や性能の向上により繁用され, 特にわれわれ耳鼻咽喉科領域においては, 診療時間内にその場で決定され, 比較的短時間に行われる検査であるため, 使用頻度は極めて高い. しかしながら施設ごとに保有される内視鏡の数は限られており, 消化器領域の実践ガイドをそのまま踏襲することには限界がある. したがって耳鼻咽喉科領域においてはその実状に合った高水準消毒を中心とした内視鏡感染制御の手引きの作成が必要となってきた. 日本耳鼻咽喉科学会はワーキンググループを立ち上げ, アンケート調査を行い, 他科で行われている内視鏡の洗浄・消毒と大きな齟齬のない, 耳鼻咽喉科医が実施可能な手引きを作成した. 本手引きの基本理念は標準予防策とスポルディングの分類に準拠し, すべての人の体液・血液は感染性があると考え, 患者間の感染予防と医療従事者の健康管理に配慮し, 内視鏡の洗浄・消毒を行うことである. すなわち使用直後の洗浄は流水と酵素洗浄剤を用いる. すすぎは十分に行う. 洗浄・消毒は原則として, 内視鏡全体 (挿入部・チャンネル内は必須) に対して行うことが好ましい. 消毒には高水準消毒薬などを用い, 添付文書に準拠する. 過酢酸, グルタラール, フタラールでは換気に注意し, 防護具を着用する. 二酸化塩素水溶液は安全であるが必ず単回使用とする. 乾燥は, アルコールを用い, 特にチャンネル内はしっかり乾燥させる. 保管は専用収納棚かホルダーを使用する. 各施設で実状に合ったマニュアルを作成しこれを遵守する.
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耳鼻咽喉科領域における感染症治療の現状と展望
司会:竹内, 万彦; 演者:鈴木, 賢二
Nippon Jibi Inkoka Gakkai Kaiho,
04/2019, Volume:
122, Issue:
4
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内視鏡の消毒
鈴木賢二
日本耳鼻咽喉科学会会報,
04/2019, Volume:
122, Issue:
4
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耳鼻咽喉科診療における感染対策 耳鼻咽喉科内視鏡の洗浄・消毒
鈴木賢二
日本耳鼻咽喉科学会会報,
11/2019, Volume:
122, Issue:
11
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感染対策の基礎となる洗浄・消毒・滅菌は求められる状況・用途に応じて明確に区別し, 使い分けることが大切である. 1974年にGreeneらにより米国における消化器内視鏡を介した感染事故が初めて報告され, わが国では, 1980年代に日本消化器内視鏡学会消毒委員会より内視鏡を介したB型肝炎ウイルスの感染の実態や内視鏡検査被検者のB型肝炎ウイルス感染が確認され, ...
グルタラールによる検査毎の消毒が感染防止に有用であることが報告された. 厚生労働省は2007年3月, 2014年12月, 2015年3月のそれぞれの通知・通達において, 内視鏡の洗浄・消毒に関しては特段の注意を払い, 関連学会等の策定するガイドラインおよび添付文書・取扱説明書等に記載される製造販売業者が定める方法を遵守することが重要であることを示した. これまでに開発・臨床導入された消化器科, 泌尿器科, 呼吸器科においては既に内視鏡感染制御のガイドラインあるいは手引き書が示され活用されており, 耳鼻咽喉科領域においても2016年に日本耳鼻咽喉科学会より"耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引き"が刊行されている. 本稿では国内外における内視鏡の感染制御に関する最新情報と厚生労働省からの通知・通達を解説するとともに, 内視鏡洗浄消毒にかかわる費用対効果についても言及し, さらに日本医療機能評価機構が行っている医療事故情報収集等事業報告のうち内視鏡の洗浄・消毒に関連した事例報告をレビューし, 耳鼻咽喉科内視鏡のヒヤリハット事例の詳細を述べた. また耳鼻咽喉科内視鏡の洗浄・消毒について概要を述べ, "耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引き"に準じた洗浄・消毒手順で内視鏡の清潔性が保たれることが確認されたのでそれらも含めて, 耳鼻咽喉科内視鏡消毒の実際の手順と注意点につき解説を行った.
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耳鼻咽喉科内視鏡の洗浄・消毒
鈴木, 賢二
日本耳鼻咽喉科学会会報,
2019/11/20, Volume:
122, Issue:
11
Journal Article
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感染対策の基礎となる洗浄・消毒・滅菌は求められる状況・用途に応じて明確に区別し, 使い分けることが大切である. 1974年に Greene らにより米国における消化器内視鏡を介した感染事故が初めて報告され, わが国では, 1980年代に日本消化器内視鏡学会消毒委員会より内視鏡を介した B 型肝炎ウイルスの感染の実態や内視鏡検査被検者の B 型肝炎ウイルス感染が確認され, ...
グルタラールによる検査毎の消毒が感染防止に有用であることが報告された. 厚生労働省は2007年3月, 2014年12月, 2015年3月のそれぞれの通知・通達において, 内視鏡の洗浄・消毒に関しては特段の注意を払い, 関連学会等の策定するガイドラインおよび添付文書・取扱説明書等に記載される製造販売業者が定める方法を遵守することが重要であることを示した. これまでに開発・臨床導入された消化器科, 泌尿器科, 呼吸器科においては既に内視鏡感染制御のガイドラインあるいは手引き書が示され活用されており, 耳鼻咽喉科領域においても2016年に日本耳鼻咽喉科学会より “耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引き” が刊行されている. 本稿では国内外における内視鏡の感染制御に関する最新情報と厚生労働省からの通知・通達を解説するとともに, 内視鏡洗浄消毒にかかわる費用対効果についても言及し, さらに日本医療機能評価機構が行っている医療事故情報収集等事業報告のうち内視鏡の洗浄・消毒に関連した事例報告をレビューし, 耳鼻咽喉科内視鏡のヒヤリハット事例の詳細を述べた. また耳鼻咽喉科内視鏡の洗浄・消毒について概要を述べ, “耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引き” に準じた洗浄・消毒手順で内視鏡の清潔性が保たれることが確認されたのでそれらも含めて, 耳鼻咽喉科内視鏡消毒の実際の手順と注意点につき解説を行った.
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