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  • 上部消化管出血で発症した後胃動脈瘤破裂
    赤坂, 理; 阿南, 英明; 藤井, 佳美

    日本臨床救急医学会雑誌, 12/2015, Volume: 18, Issue: 6
    Journal Article

    症例は70代男性。胸部不快感を主訴に救急車にてショック状態で当院に搬送された。眼瞼結膜に貧血を認めたこと,直腸診で黒色便を認めたこと,来院後吐血したことから上部消化管出血を疑った。輸液で循環動態が安定したため上部消化管内視鏡検査を施行したが,大量持続出血のため胃内は視野不良であった。処置中に血圧が低下したため中止した。気管挿管,輸液,輸血を行い,循環動態が安定した後に,腹部造影CT検査を行ったところ,胃内に造影剤の漏出像を認めた。引き続き腹部動脈造影検査を行い後胃動脈瘤破裂による出血と診断し,コイル止血した。上部消化管出血の場合,上部消化管内視鏡検査ならびに内視鏡的止血術が一般的であるが,自験例のように送気や出血のため循環動態が不安定になることがあり,内視鏡操作に固執せずに撤退するポイントを見極め,速やかに血管造影や手術に移行することが重要である。