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  • Prevotella nigrescens の exo...
    古川, 智代; 山中, 武志; 福島, 久典

    歯科医学, 2005/03/25, Volume: 68, Issue: 1
    Journal Article

    Prevotella nigrescens (P. nigrescens)は, 口腔感染症から高頻度に分離される黒色色素産生性の偏性嫌気性グラム陰性桿菌である.我々はこれまでに歯周ポケットから分離したP. nigrescens strain 22 (strain 22)がexopolysaccharide (EPS)を産生し, 比較的強い膿瘍形成能をもつことを明らかにしてきた.しかし, EPSを産生する多くの臨床分離株は, 継代培養によってEPS産生性を失うか低下することが多い.EPSはバイオフィルムの主構成要素であり, 安定したEPS高産生株を得ることは, バイオフィルム形成に関する研究を遂行する上で重要である.そこで本実験では, strain 22を用い, 動物通過によるEPS高産生性の誘導・維持を試みるとともに, 産生増加に伴って発現が上昇する菌体タンパクの2次元電気泳動とN-末端アミノ酸シークエンス解析を行い, バイオフィルム形成に関与する調節因子についても検討した.マウスを用いた動物通過によりstrain 22のEPS産生は著しく増加したが, 通過後数回の継代培養によって, 短期間のうちに減少した.動物通過後, EPS産生の増加に伴って発現上昇が認められたタンパクスポットのアミノ酸シークエンス解析の結果, 3スポットは細菌シャペロン(DnaK, GroEL, GroES)のN末端アミノ酸配列と高い相同性を示した.これらの結果から, 動物通過ストレスによってストレス抵抗機構が働き, これがP. nigrescensのEPS産生性を増強し, バイオフィルム形成による環境への適合を誘導している可能性が示唆された.