11.
上部消化管内視鏡治療時の鎮静効果〜事前予測因子の検討
清水, 智樹; 山本, 頼正; 富田, 英臣 ...
Progress of Digestive Endoscopy,
12/2013, Letnik:
83, Številka:
1
Journal Article
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上部消化管内視鏡治療時の麻酔として,一般的に鎮静剤〔benzodiazepine(BZ)系など〕と鎮痛剤が併用されるが,時に効果不十分な症例を経験する。その際,haloperidol(HLP)やpropofolが使用されるが,どの症例で効果不十分となるかは明確になっていない。鎮静不十分となる症例の予測因子を明らかにすべく,HLP追加投与を要した症例の解析を行った。2011年11月〜2012年6月に当院で専門医が内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した,単発の食道・胃の上皮性腫瘍性病変169例を対象とした。Midazolam(MZ)+pethidine hydrochloride(PH)で鎮静した群152例(90%)とMZ+PHにHLPを併用した群17例(10%)の2群でそれぞれの臨床像を比較検討した。HLP併用群では,有意に平均年齢が低く,男性が多く,体表面積が大きく,1年以内の飲酒・喫煙歴を有し,食道病変が多く,病変径も大きかった。また,術前内視鏡時からMZ,PHを多く要し,治療時もPH投与量が多く麻酔時間が長かった。有意差を示した項目に対してさらに多変量解析を行った結果,有意な独立因子は,①60歳未満,②病変径30mm以上,③術前検査時のMZ投与量≧0.06mg/kgの3点であった。これらはMZ+PHによる鎮静が不十分となることを予測する因子として有用である。
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12.
線維化病変に対する大腸ESDの検討
石川, 寛高; 為我井, 芳郎; 千野, 晶子 ...
Progress of Digestive Endoscopy,
06/2013, Letnik:
82, Številka:
1
Journal Article
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大腸ESDの適応と限界を明らかにする目的で,粘膜下層に高度な線維化を伴う病変の臨床病理学的特徴を検討した。対象は,2011年3月〜2012年4月に大腸ESDを施行した110例110病変のうち,粘膜下層に線維化を認めた23例の内視鏡像をretrospectiveに検討し,ESDによる一括切除の成否を分けた要因を分析した。高度線維化は9例に認められ,5例は一括切除が可能であったが,4例で分割切除あるいはESDの中止を余儀なくされた。一括切除例5例の内訳は,LST-NG:2例,LST-G:2例,Isp:1例で,pit patternは全例ⅤI軽度不整,深達度はpM癌3例,pSM1癌2例であった。分割切除/中止4例の内訳は,LST-NG:1例,LST-G:2例,Isp:1例で,pit patternはⅤI軽度不整2例,ⅤI高度不整2例,深達度はpM癌2例,pSM2癌2例で,ⅤI高度不整の2例がいずれもpSM2癌であった。手技的側面からの検討では,一括切除例5例では線維化領域における剥離線の設定が可能であったが,分割切除/中止の4例では剥離線の設定が困難であった。 以上よりⅤI高度不整を呈する高度線維化例は,根治的ESDの適応外であるSM高度浸潤癌の可能性が高く,撤退を考慮する指標になると考えられた。また高度線維化病変に対する一括切除の成否は,線維化領域の剥離線の設定が可能か否かによると考えられた。
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13.
NBI拡大観察にて診断し得た肛門管扁平上皮癌の2例
森重, 健二郎; 千野, 晶子; 大野, 吏輝 ...
Progress of Digestive Endoscopy,
06/2013, Letnik:
82, Številka:
1
Journal Article
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「はじめに」 肛門管扁平上皮癌(粘膜内癌, 以下, SCC)は稀な疾患であるが, 画像強調をはじめとする内視鏡機器の発達に伴い, 早期の段階での発見例が増加することが予想される. 今回, 肛門管扁平上皮癌の早期診断にNBI拡大観察が有用であり, また診断的治療を兼ねた局所切除を施行した肛門管扁平上皮内癌の2例を経験したので報告する. 「症例」 【症例1】 患者:73歳, 女性. 既往歴:高血圧, ...
胃潰瘍. 現病歴:当院での胃癌術前の大腸内視鏡検査にて肛門管歯状線上に扁平隆起性病変を指摘された. 生検組織診断でSCCが検出され, 当科紹介となった. 血液検査所見:SCC 0.6ng/ml(0.0~1.5ng/ml). 下部消化管内視鏡検査:歯状線上に約10mm大の白色調扁平隆起を認めた. 病変の肛門側(Color 1-a:赤枠)のNBI拡大観察では, 血管の拡張, 蛇行所見を認め(Color 1-b), 同部位の生検による病理組織にてSCCと診断された. 粘膜内癌の可能性が高く, 完全生検の目的にて経肛門的局所切除術を施行した.
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14.
内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した未分化型胃癌に乳癌の胃転移を認めた1例
谷口, 智香; 山本, 頼正; 石山, 晃世志 ...
Progress of Digestive Endoscopy,
06/2012, Letnik:
80, Številka:
2
Journal Article
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「はじめに」 乳癌の胃転移は時に臨床で経験されることがある. 今回, 未分化型早期胃癌に対して内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した検体内に, 乳癌の胃転移が併存した稀な症例を経験したので報告する. 「症例」 症例:55歳, 女性. 現病歴:39歳時に左乳癌(T1N0M0, Stage I)に対し左乳房温存術を施行, その後化学療法, ホルモン療法を施行した. 乳癌の組織型は浸潤性小葉癌であった. ...
44歳時に同側異時性多発乳癌を認め残乳房切除と化学療法を施行し, その後は無治療で経過観察されていた. 初回治療から16年後の2010年7月の採血でCEAが7.7ng/mlと上昇しており, CT, PET, 内視鏡検査, 腹部超音波検査で精査を行った. 上部内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy:EGD)で胃角部後壁に褪色調の陥凹性病変を認め, 生検で低分化腺癌であった. その他に原発巣を認めず, 治療目的で当科紹介となった.
več
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15.
ヘリコバクター・ピロリ菌陰性胃癌:その特徴と内視鏡所見
山本, 頼正; 藤崎, 順子; 大前, 雅実 ...
日本消化器内視鏡学会雑誌,
2016, Letnik:
58, Številka:
9
Journal Article
Recenzirano
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ヘリコバクター・ピロリ菌は慢性的な胃炎を惹起し,それに引き続き胃癌を引き起こす要因のひとつである.本邦では衛生環境の改善や,除菌治療の普及により,その感染率は徐々に低下している.しかし最近,ピロリ菌未感染の胃癌が報告されており,その頻度は全胃癌の0.42-5.4%であり,おおよそ1%である.ピロリ菌陰性胃癌の診断基準は,報告によって様々であり,いまだ確立されていない.われわれは,ピロリ菌陰性胃癌の必要最小限の診断基準として,内視鏡所見,病理所見,血清ペプシノーゲン法の2つ以上で陰性で,尿素呼気テストまたは血清IgG抗体が陰性,かつ除菌歴がない事を提案する.ピロリ菌感染以外の胃癌の原因としては,生活習慣,ウイルス感染,自己免疫性疾患,遺伝的疾患などいくつかの要因が関連することが知られているが,ピロリ菌陰性胃癌の主な原因はいまだ不明である.ピロリ菌陰性胃癌は,未分化型癌の頻度が高く,主に印鑑細胞癌であり,比較的若年者の胃中―下部の褪色調病変で,平坦・陥凹型の肉眼型が多い.一方で分化型癌は,未分化型癌に比して相対的に高齢者の胃中-上部に認める胃底腺型胃癌であり,粘膜下腫瘍様や陥凹型の肉眼型である.ピロリ菌陰性胃癌を早期診断することで,内視鏡切除などの低侵襲治療が可能となるため,内視鏡医はピロリ菌陰性胃癌の臨床所見,内視鏡所見について十分理解しておくことが重要である.
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16.
Double‒scope ESDの有効性と表在型咽頭癌に対する内視鏡的切除の治療成績
由雄, 敏之; 土田, 知宏; 石山, 晃世志 ...
日本消化器内視鏡学会雑誌,
2017, Letnik:
59, Številka:
12
Journal Article
Recenzirano
Odprti dostop
【背景】上部消化管内視鏡検査における咽頭観察への関心が高まり,Narrow band ...
imagingを用いた観察が広まったことにより,表在型咽頭癌を治療する機会が増加している.本検討は表在型咽頭癌に対する内視鏡的切除の短期,長期成績を評価することを目的とした.【方法】2006年から2013年に当院で治療した表在型咽頭癌113症例,169病変を対象とした.当院では最初は内視鏡的粘膜切除術(EMR),次に従来の内視鏡的粘膜下層剥離術(cESD),そして最近では補助細径内視鏡による牽引を利用したdouble-scope ESD(dsESD)を施行している.観察期間の中央値は30カ月であった.【結果】すべての病変は扁平上皮癌であった.cESD,dsESDの完全切除率は56.4%,82.3%(p<0.01),局所再発率は2.6%,0.0%であった.dsESDにおける切除時間は有意にcESDに比べ短かった(p<0.05).リンパ節転移再発は4例に認められたが,いずれも頸部リンパ節郭清を施行され中央値48カ月を経て生存している.リンパ節転移の危険因子は上皮下浸潤,腫瘍の厚み1,000μm以上,滴状浸潤と脈管侵襲であった.5年全生存率は79.5%で表在型咽頭癌による死亡例はなかった.表在型咽頭癌の異時多発病変の5年累積発生率は46.5%であった.【結論】表在型咽頭癌に対する内視鏡的切除は異時性多発癌を多く認めたが,適切で有効な治療法であった.切除方法としてdsESDは有効であった.
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17.
同一病変内に共存した早期胃癌とNETの1例
森重, 健二郎; 藤崎, 順子; 山本, 智理子 ...
Progress of Digestive Endoscopy,
12/2012, Letnik:
81, Številka:
2
Journal Article
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「はじめに」 神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)は神経内分泌細胞に由来する腫瘍の総称であり, カルチノイドとも呼称されてきた. 胃癌とNETの合併例の報告は過去にも散見されるが, 中でも同一病変内での共存例の報告は少ない. 今回我々は同一病変内に共存した早期胃癌とNETの1例を経験したため報告する. 「症例」 患者:81歳, 男性. 既往歴:高血圧, 気管支喘息. ...
現病歴:2011年5月に近医にて貧血精査目的で上部消化管内視鏡検査を施行した. 胃体中部大彎に隆起性病変を認め, 生検より胃癌とカルチノイドの混在病変が疑われ, 精査加療目的にて当科紹介受診となった. 入院時現症:身長159cm, 体重50kg, 血圧156/69mmHg, 脈拍66回/min, 体温36.2℃. 身体所見:特記すべき所見なし. 血液検査所見:Hb9.5g/dlと貧血を認め, 血清ガストリン値は1,500pg/mlと軽度の高値を認める(Table 1).
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18.
隆起型を呈しESDを施行した未分化型粘膜内癌の1例
菅沼, 孝紀; 平澤, 俊明; 清水, 智樹 ...
Progress of Digestive Endoscopy,
12/2012, Letnik:
81, Številka:
2
Journal Article
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「はじめに」 隆起型早期胃癌の中で, 未分化型を主体とした症例の頻度は少なく, 中でも0-I型を示すものは極めて稀である. 「症例」 患者:30代, 女性. 既往歴:気管支喘息, 片頭痛. 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:2011年2月, 健診胃造影検査にて体中部後壁にポリープを指摘され, 近医にて上部消化管内視鏡検査施行. 同部位の生検にて印環細胞癌の診断で当院紹介となった. ...
CT・腹部超音波検査所見:特記すべき所見なし. 入院時現症:特記すべきことなし. 血液検査所見:Hb10.4g/dlと軽度貧血, H.pylori-IgG抗体18U/mlと陽性を示した他は, 異常所見なし. 内視鏡所見:背景粘膜は高度の萎縮を示し, 体中部後壁に10mm大のやや発赤調の有茎性病変. 表面は, 白苔様の粘液が付着し, ポリープの基部に0-IIc様の陥凹面を認めた(Color 1). NBI拡大内視鏡像:隆起部は, 付着物のため, 観察不良.
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19.
NBI拡大内視鏡所見「不規則血管」と胃癌組織型の検討
松尾, 康正; 藤崎, 順子; 谷口, 智香 ...
Progress of Digestive Endoscopy,
12/2012, Letnik:
81, Številka:
2
Journal Article
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2007年4月~2010年3月まで当院で術前生検組織がtub2-porでありESDが施行された32例を対象に,NBI拡大観察が病変全体の組織型の把握に関して有用であるかを検討した。未分化型癌が粘膜全層に存在している際に認める特徴的な血管を「未分化型不規則血管(以下,不規則血管)」と定義し,NBIでの不規則血管観察の可否と,ESD病理組織を比較検討した。対象の32例中,不規則血管を認めたのは20例で全例が分化型,未分化型混在癌(以下,混在癌)であった。不規則血管を認めなかった12例のうちESD病理組織で6例が混在癌で6例が純分化型であった。混在癌の主組織型が未分化型であった13例中12例(92.3%)で不規則血管を認めた。混在癌の主組織型が分化型であった13例中8例(61.5 %)で不規則血管を認めた。混在癌にも関わらずNBI拡大観察で不規則血管を認めなかった6症例は,病変内の未分化型成分の占める割合の低い症例と粘膜表層は分化型で粘膜深層で未分化型癌の症例であった。不規則血管に着目した本検討により,面としての診断が可能なNBI拡大観察は,胃癌組織型について生検では得られない有用な情報を提供しうることが示された。
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20.
Celotno besedilo