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  • 一木, 愛; 野村, 秀高; 箕浦, 祐子; 幅野, 愛理; 金子, 景香; 植木, 有紗; 中島, 健; 金尾, 祐之

    遺伝性腫瘍, 2023/03/31, Letnik: 22, Številka: 4
    Journal Article

    Lynch症候群(Lynch syndrome;LS)は,常染色体顕性遺伝(優性遺伝)の形式をとり,適切な診断とサーベイランスにより,発端者ないし血縁者のがんの早期発見・治療を実現する可能性がある.とくに生殖年齢のLS患者において,子宮内膜癌の早期発見・治療は妊孕性温存可否にかかわる重要な問題である.今回,不妊治療中に30代前半で子宮内膜癌が発見され,MSH2の病的バリアントを認めLSと診断された2例を経験した.両者ともに早期癌であったが,子宮全摘,術後化学療法を要する段階であった.当該患者の血縁者が当院でLS関連腫瘍の治療をし,濃厚な家族歴にもかかわらずLSの診断に至っていなかったために,当該患者の適切な診断・サーベイランスの機会が得られず早期発見が困難となった可能性が否定できない.子宮内膜癌のより早期な診断にて妊孕性温存治療実施の可能性もあった.発端者の適切な診断はその血縁者にも重大な影響を与え得ることから,遺伝学的な診断に基づいた正しい医療介入が望まれる.