NUK - logo
E-viri
Recenzirano Odprti dostop
  • 小論文評点のカテゴリ化に関する測定論的考察
    平井, 洋子; 渡部, 洋

    行動計量学, 1994, Letnik: 21, Številka: 2
    Journal Article

    1.はじめに 入学試験に小論文を課す大学は多い. 国公立大学の2次試験をみても, 小論文を採用する大学・学部の数は80%に達するといわれる. 知識の測定を得意とする多枝選択式テストに比べ, 小論文テストでは知識の他に, 論理的思考力, 文章表現力, 問題意識, 独創性なども測定可能とされている. 小論文テストで測定される知識は主に能動的なものであり, 受験者はそれを文章という形に組み立てて表現する. この点で小論文テストは実技試験に近い性格も持つ. 小論文テストは試験形式の1つとして様々な可能性を秘め, 寄せられる期待も大きい. 小論文テストの評価で常に問題になるのは, 評価の主観性からくる評点の信頼性の問題であろう. この問題は, 同じ評定者が同じ小論文を繰り返し採点するときの再評価信頼性と, 異なる評定者による評点の一致度を表す評定者間信頼性に分けられる. 渡部, 平, 井上(1988)は, 3名の評定者が1週間おいてもう一度小論文を総合評価した場合, 再評価信頼性が0.40~0.91と, 評定者によってかなり異なることを見いだした.