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  • 白神山地の小規模地すべり地における微地形と植生の関係
    三島, 佳恵; 檜垣, 大助; 牧田, 肇

    季刊地理学, 2009, Letnik: 61, Številka: 2
    Journal Article

    地すべり地に見られる植物の群落構成および分布の微地形との関係を検討するため,白神山地のひとつの地すべり地で,微地形・植生・土層構造・土壌侵食量の調査を行った。調査地にメッシュを設け,メッシュごとに植生調査を行った。メッシュは,植物の種構成により(1),(2),(3)のグループに分けられた。(1),(2)はブナ林に特徴的な種を持っているが,とくに(1)は尾根から滑落崖上部に分布しており,乾性の立地条件に現れる種をもつ。(3)は移動体下部に集中して分布しており,サワグルミ林に関係の深い種群をもつ。ブナ林乾燥型の(1)は,土壌の撹乱や土砂の移動が少ない尾根と,土壌侵食があり土層が薄い滑落崖上部に分布していた。サワグルミ林型の(3)は,土壌の撹乱や土砂の移動がある移動体の中でも,地下水の湧出で湿潤な環境にある移動体下部に分布していた。(2)は,基本的にブナ林型の種構成であり,微地形単位を超えて広く分布していた。調査地では,ブナ林を基本として,尾根や滑落崖上部に乾性立地の種が,また地すべりによる土砂堆積と地下水による湿性な環境にある移動体下部でサワグルミ林に関係の深い種を持つ林分がが立地している。