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  • 超音波検査が検出に有用であった腸間膜静脈腫瘍塞栓を形成...
    武藤, 憲太; 西浦, 哲哉; 安尾, 正信; 内藤, 愼二

    超音波検査技術, 04/2021, Letnik: 46, Številka: 2
    Journal Article

    症例は90代,女性.自宅内で転倒し,体動困難となり当院に搬送された.全身精査目的で行われた腹部単純CT検査で膵体尾部の主膵管拡張が認められたが,膵頭部に明らかな閉塞機転は指摘できなかった.主膵管拡張の精査目的で行われた腹部超音波検査で門脈起始部から上腸間膜静脈,下腸間膜静脈,脾静脈の合流部にかけて低エコー病変を認め,下腸間膜静脈は内部の低エコー病変により拡張していた.同病変に血流が検出されたため腫瘍塞栓が疑われた.さらに,S状結腸には形状不整で内部不均一な径30 mm大の限局性の壁肥厚を伴う低エコー腫瘤が認められたことからS状結腸癌とその腫瘍塞栓と考えられた.また,腹部造影CT検査でもS状結腸に造影効果のある不整な壁肥厚を認め,門脈起始部から上腸間膜静脈,下腸間膜静脈,脾静脈の合流部と下腸間膜静脈内に造影効果のある腫瘍性病変が認められた.肝臓に転移性病変は認めなかった.その後,下部消化管内視鏡検査が行われ,生検組織にて,Group 5, adenocarcinomaと診断された.大腸癌の肝転移の多くは,腸管壁の静脈侵襲を経て腸間膜静脈に侵入し,門脈を介して転移する.そのため,肝転移巣が形成される前に,腸間膜静脈内に超音波検査で確認可能なサイズの腫瘍塞栓が形成されることはまれである.今回,腸間膜静脈腫瘍塞栓を形成したS状結腸癌に対し,超音波検査が有用であった1例を経験したので報告した.