1.
膵壊死を伴った自己免疫性膵炎の1例
児玉, 亮; 鎌倉, 雅人; 三枝, 久能 ...
膵臓,
2019/02/25, Volume:
34, Issue:
1
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症例は60歳代,男性.食欲低下,体重減少,黄疸,糖尿病の増悪で入院した.血液検査所見ではIgG 2446 mg/dl,IgG4 232 mg/dlと高値を認めた.画像検査では総胆管壁肥厚と狭窄,膵頭部腫大,Capsule-like ...
rim,主膵管のびまん性の不整狭細像を認めた.膵尾部には嚢胞様病変を認め,内部にはT1強調像・T2強調像で高信号の領域があり陳旧性の出血が疑われた.22GのFranseen針を用いて超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引生検を行い,膵体部の腫大した膵実質からの組織診で自己免疫性膵炎と診断した.膵尾部の嚢胞様病変からの組織診では膵壊死を認めた.ステロイド内服治療により肝胆道系酵素異常は改善した.ステロイド導入1ヶ月後のMRI検査では胆管狭窄・膵腫大の改善を認め,3ヶ月後には膵壊死は消失した.壊死を伴う自己免疫性膵炎の報告は過去になく貴重な症例と思われたので報告する.
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2.
イマチニブによる術前化学療法中に多形肉腫への脱分化を認めた胃gastrointestinal stromal tumorの1例
青木, 亮太; 五明, 良仁; 池野, 龍雄 ...
日本消化器外科学会雑誌,
2023/02/01, Volume:
56, Issue:
2
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症例は75歳の男性で,CTで胃に接する20 cmの腫瘤を認め紹介となった.内視鏡検査で胃粘膜下腫瘍を認めた.生検組織の病理学的検査では紡錘形細胞を認め,CD117陽性,CD34陽性,S-100陰性,desmin陰性であることからgastrointestinal stromal ...
tumor(以下,GISTと略記)と診断した.CTでは肝臓,横隔膜への浸潤が疑われたため,イマチニブによる術前化学療法を開始した.7か月で腫瘍は11 cmまで縮小したが,11か月の時点で縮小を認めなかったため,切除の方針とした.術中所見では,肝臓,横隔膜への浸潤はなく,胃部分切除,脾摘出術を行った.切除標本の病理学的検査では,一部に生検組織と異なる多形性の強い間葉系異型細胞を認め,CD117陰性,CD34陰性であり,GISTから脱分化した多形肉腫と診断した.脱分化GISTはまれな病態であり,これを報告する.
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3.
骨髄穿刺により診断に至ったパルボウイルスB19感染の高齢者の 1 例
松尾, 明美; 宍戸, 瑛理; 堀内, 俊道 ...
日本病院総合診療医学会雑誌,
2023/09/30, 20230930, Volume:
19, Issue:
5
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症例は 81 歳男性。1ヵ月の経過で活気不良が増悪し,2系統優位の血球減少と高熱を呈したために骨髄穿刺検査を施行した。塗抹および ...
組織中に巨大前赤芽球が認められたことからパルボウイルスB19感染が疑われ,パルボウイルスB19IgM検査を施行し診断に至った。高齢者のパルボウイルスB19感染は典型的な所見に欠けることが多いため臨床症状からパルボウイルスB19感染を疑うことが難しい。高齢者が血球減少を来たす疾患として,骨髄異形成症候群をはじめとする血液疾患を筆頭に,高齢者は多数の薬剤を内服していることが多く薬剤性の血球減少など様々な疾患が鑑別に挙げられる。骨髄病理所見上の巨大前赤芽球はパルボウイルスB19感染に特徴的であり,パルボウイルスB19感染症を疑った場合,骨髄穿刺が診断に有用となる場合がある。
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4.
女性化乳房を呈したアロマターゼ産生精巣セルトリ細胞腫の1例
大門, 裕典; 杵渕, 芳明; 鈴木, 尚徳 ...
日本泌尿器科学会雑誌,
2016, Volume:
107, Issue:
2
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症例は64歳男性.2012年6月頃より左陰囊内の腫瘤と両側乳房腫大を自覚していた.2013年12月に左精巣腫瘍の疑いで当科紹介された.初診時,両側乳房腫大と左陰囊内に硬い,超鶏卵大の表面平滑な無痛性の腫瘤を認めた.精巣腫瘍の腫瘍マーカーはいずれも正常範囲内であった.内分泌学的検査ではエストラジオール(E2)の著明高値を認めた.2013年12月9日,左精巣腫瘍の疑いで左高位精巣摘除術を施行した.病理組織学的所見よりセルトリ細胞腫と診断された.また,各種抗体を用いた免疫染色から腫瘍細胞のアロマターゼ産生を支持する所見を認めた.本症例の女性化乳房は腫瘍組織のエストラジオール産生が原因と考えられた.術後,E2は正常化したが,摘出した精巣の病理組織学的検査では悪性を示唆する所見を認めたため,2014年1月28日に後腹膜リンパ節廓清術(RPLND)を施行した.摘出したリンパ節に転移巣は認めなかった.術後,徐々に両側乳房のサイズは縮小し,精巣摘除後1年を経た現在,再発,転移なく経過観察中である.
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5.
小腸重積をきたした好酸球性胃腸炎の1例
有吉, 佑; 宮本, 英雄; 秋田, 倫幸 ...
日本臨床外科学会雑誌,
2016, Volume:
77, Issue:
11
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症例は44歳,女性.腹痛と下痢のため受診.腹部CT検査で複数箇所での腸重積が認められ外科紹介となった.保存的に経過をみたが,入院5日目の腹部CT検査で1箇所に腸重積が残存していたため手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を検索すると腸重積を認めたが,小腸の軽い牽引操作によって解除された.腸切除は施行しなかった.術後末梢血中の好酸球が徐々に増加し,術中採取した腹水からも多数の好酸球を認め,好酸球性胃腸炎と診断した.術後も腹痛は持続していたが,prednisoloneの内服が著効し腹痛は消失した.その後prednisoloneを漸減,中止したが,再発していない.非典型的な腸重積を認めた場合,好酸球性胃腸炎もその原因疾患として考慮する必要がある.
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6.
絞扼性イレウスで発症した重複メッケル憩室の1例
浦川, 雅己; 池野, 龍雄; 荒居, 琢磨 ...
日本消化器病学会雑誌,
2009, Volume:
106, Issue:
4
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症例は29歳男性.平成17年3月腸閉塞にて入院となり翌日に腹膜炎症状出現し緊急手術となった.Meckel憩室と思われる憩室を2つ認め,長さは3cmと5cmであった.長い方の憩室先端がS状結腸間膜に癒着し小腸を絞扼しており憩室の中には小蟹の甲羅が入っていた.Meckel憩室が2つあったという報告はわれわれの検索した範囲では1例しか報告がなく非常にまれな症例であると考えられた.
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7.
虫垂粘液嚢胞腺腫の2例
池野, 龍雄; 市川, 英幸; 川口, 研二
日本消化器病学会雑誌,
2004, Volume:
101, Issue:
8
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症例1は76歳女性. 腹痛を主訴に受診. 腹部CT検査にて虫垂粘液嚢腫と診断, 虫垂・盲腸切除術を施行した. 症例2は73歳男性. 腹部膨満感を主訴に受診. 腹部CT検査にて本症と診断し, 回盲部切除術施行した. 病理検査では, 両症例とも粘液嚢胞腺腫で, 悪性所見はなかった. 現在まで腹膜偽粘液腫を含め, 再発は見られていない. 本症は開腹時偶然発見されるものが多いが, 術前に本症と診断し, ...
外科手術を施行した2例を経験したので報告する.
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8.
急激な進行にて死に至ったS状結腸間膜脂肪肉腫の1例
浦川, 雅己; 池野, 龍雄; 名取, 恵子 ...
日本臨床外科学会雑誌,
2009, Volume:
70, Issue:
4
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症例は67歳,男性.左腹部の大きな腫瘤と腹部膨満にて来院した.CT上大腸イレウスとなっておりS状結腸と思われる部位に腫瘤を認めた.半年前のCTでは腫瘍は認めていなかった.内視鏡下で経肛門的にイレウス管を挿入した.内視鏡所見では大腸粘膜は比較的保たれており癌よりは悪性リンパ腫やGISTなどを疑う所見であった.手術も検討していたが急激に進行し入院後24日目に永眠された.剖検したところS状結腸間膜の肉腫が瀰漫性に播種を起こしていた.病理はmyxoid/round cell liposarcomaであった.脂肪肉腫は主に下肢に発生し腸間膜由来の脂肪肉腫は稀である.また粘液型の比較的予後のいい組織型であったが腹膜播種,遠隔転移を起こし急激な進行を示した非常に稀な症例であったと考えられた.
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9.
慢性関節リウマチに対するメトトレキセート治療中に発症したEBウイルス関連悪性リンパ腫による回腸穿孔の1例
古澤, 徳彦; 池野, 龍雄; 浦川, 雅己 ...
日本臨床外科学会雑誌,
2006/11/25, Volume:
67, Issue:
11
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近年,慢性関節リウマチ(RA)の治療に早期からメトトレキセート(MTX)を投与する症例が増加している.しかし,一部の症例でメトトレキセート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)の発生が認められている.今回, RAに対するMTX治療中に発症した悪性リンパ腫による回腸穿孔の1例を経験したので報告する.症例は63歳,男性. 1976年にRAを発症し, 2000年9月からMTXの投与が開始された. ...
2005年12月下旬,腹痛を主訴に救急外来を受診し入院.腹部CTで,腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.回腸に浮腫状の変化と穿孔を認めたため,回盲部切除術を施行した.組織病理学的にはEBER1陽性のdiffuse large B cell typeの悪性リンパ腫と診断された. MTX-LPDの一部はMTXの投与中止により改善が期待でき,本例も術後にMTX投与を中止し6カ月が経過したが,現在,再発徴候を認めない.
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10.
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