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  • 非A非B型輸血後肝炎より肝硬変に進展した1例
    原田, 英治; 油谷, 浩幸; 吉川, 雄二; 大竹, 寛雄; 田中, 慧; 大林, 明; 清水, 勝; 坂本, 久浩; 川口, 研二; 小池, 盛雄; 望月, 孝現; 玉川, 重徳

    肝臓, 1983, Volume: 24, Issue: 9
    Journal Article

    非A非B型輸血後肝炎(以下NANB-PTH)の遷延・慢性化した症例の多くは,数年間の観察によれば慢性肝炎の状態に留っており,肝硬変まで進展した症例についての報告は未だ少ない.我々はNANB-PTH発症後3年4ヵ月の経過で腹水を併う肝硬変へと進展した1症例を経験したので報告する.患者は69歳の女性で子宮頚癌のため広汎子宮完全摘出術を受け,術中に13単位の輸血を受けた.術前の肝機能は正常であったが,35日の潜伏期の後transaminaseが上昇し,その後長期にわたり多峰性の変動を繰返した.麻酔の影響はなく,HBV, HAV, CMV, EBVの感染は血清学的検査により否定され,NANB-PTHと診断された.3年4ヵ月後の腹腔鏡検査では右葉に瘢痕帯を併う結節肝で赤色紋理と腹水が認められ,組織学的には活動性の肝硬変であった.NANB-PTHの症例中には本症のごとく無症状のまま比較的短期間に肝硬変に進展する例もあるので慎重に追跡観察することが必要である.