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  • 熊本県におけるβ-ラクタム系薬耐性腸内細菌目細菌の保菌...
    八尋, 俊輔; 原田, 誠也; 小原, 敦美; 藺牟田, 直子; 大岡, 唯祐; 西, 順一郎

    感染症学雑誌, 2023
    Journal Article

    熊本県におけるβ-ラクタム系薬耐性腸内細菌目細菌(β-lactam antibiotics-resistant Enterobacterales;BLARE)の腸管内保菌状況を把握するため,2015年4月~2020年3月間に当所に搬入された糞便1,434検体から菌分離を試みたところ,340検体(23.7%)から354株のBLAREが分離された.このうち343株(96.9%)は大腸菌であり,ESBL産生大腸菌が305株(86.2%)を占めた.さらに,その中の133株(43.6%)は世界的な拡散が報告されているパンデミック・クローン群の大腸菌O25b-ST131と判定されたことから,このクローン群の拡大が熊本県における薬剤耐性菌腸管内保菌率増加の一因であることが示唆された.なお,分離されたESBL産生菌はすべてCTX-M型遺伝子保有株であり,CTX-M-9 groupが210株(67.7%),CTX-M-1 groupが80株(25.8%),およびCTX-M1とCTX-M-9の両group保有株が13株(4.2%)などであった.また,分離株を検査対象施設の大まかな種類別に集計したところ,乳幼児施設での分離率が35%を超え,複数の施設でESBL産生大腸菌の水平伝播が確認されたことから,乳幼児施設はBLAREのリザーバーの一つである可能性が高いと思われた.