UP - logo
E-resources
Open access
  • Metronidazole strip法による嫌気性菌...
    成川, 新一; 中塩, 哲士; 西田, 信一; 中村, 正夫; 原沢, 功

    感染症学雑誌, 06/1983, Volume: 57, Issue: 6
    Journal Article

    Metronidazoleは通常嫌気培養を必須とするBacteroides, Fusobacterium, Clostridium, Peptococcus, Peptostreptococcus などの嫌気性菌に対し選択的効果を示す抗菌剤である。同剤耐性の嫌気性菌は英国およびオーストラリアで報告されたBacteroides fragilis各1株ずつのみであり, in vitroにおいて嫌気性菌に耐性を獲得させるには変異誘発物質が必要であるという. このためわれわれはMetronidazole感受性を嫌気性菌確認に用いることを提案してきた. 今回われわれは同剤含有paperstripを作製し, 嫌気性菌集落と通性嫌気性菌集落を鑑別する方法を検討した. 両者の混合菌液をGAM寒天平板に分離培養, Metronidazole 5μg含有stripを塗抹方向に対し直角に置いて嫌気培養した. 48時間後, 濃厚塗抹部strip周囲には嫌気性菌の存在を示すsparserzoneを生じ, 独立集落が得られている部分では通性嫌気性菌集落がstripの辺縁近くまで認められるのに対し, 嫌気性菌集落はstripから5~15mm以上離れて認められた. したがって好気培養を併用することなく嫌気性菌集落鑑別が可能になると考えられる. しかも本検査法において通性嫌気性菌の存在による影響は少ない. 同剤力価はStreptococcus faecal空など限られた菌種によって低下するが, 同剤は嫌気性菌をより短時間内に殺菌するため, 患者材料中にこれらの菌が混在しても本法を行ううえに障害となることはない.そのため通性嫌気性菌が102~103倍多く存在し, 嫌気性菌の独立集落を得ることが難しい患者材料においてもsperser zoneを生ずるので, 嫌気性菌の存在を知ることができる. この場合は選択培地を用いれぽ分離も可能になると考えられる.