UP - logo
E-viri
Celotno besedilo
Odprti dostop
  • ホーリズムとしての知識社会学
    小田, 和正

    現代社会学理論研究, 2020, Letnik: 14
    Journal Article

    一般に知識社会学は知識と社会的存在との相互関係を究明する社会学の一分野として定義される。したがって基本的に知識社会学には知識と社会、精神と物質といった二元論的構図が伴われる。しかしその確立者であるK.Mannheimがそうするようにあらゆる知識が社会的に制約されると規定する場合、その二元論的構図はジレンマに陥る。二元論の両極はいずれも知識であり、もし社会的存在を説明されるべき知識の関係項として実体的に扱うなら、知識の普遍的な社会的制約性の主張と矛盾するように見えるからである。 本稿はこの知識社会学一般にかかわる根本問題の解決に向けた予備的研究として位置づけられる。解決の基本方針は知識社会学を知のホーリズムとして定式化するというものであり、それに向けて本稿では、Mannheimの知識社会学がW.V.O.Quineが提起する知のホーリズムとしての性格をもつこと、逆にそのQuineのホーリズムは知識社会学化される必要があること、MannheimとQuineを補完する議論としてA.Schützの知識理論を位置づけうること、そしてそのSchützの知識理論もまた独自の知のホーリズムとしての特徴をもつことを論じる。最後に、知識社会学を知のホーリズムとして定式化する際のSchützの貢献を明確化し、知識社会学の根本問題の解決に向けて残された主要な課題を指摘する。